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【Jリーグ】J2ウォッチャー平畠啓史の注目クラブ 「昇格したらすごいドラマ」2025シーズン中間報告 (4ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu

【今後連勝できる可能性がある】

 V・ファーレン長崎は、前半戦はちょっと失点が多かったですが、攻撃のパワーは圧倒的ですし、いまのJ2で大きく連勝できる可能性が最もあるチームは長崎じゃないかなと思っています。水戸も8連勝があっていまの順位がありますし、千葉も6連勝と4連勝がありました。やっぱり、順位を上げるにあたって連勝は大事だと思います。

 下平隆宏監督から高木琢也監督に変わったことで、ビルドアップよりも長いボールを早めに前線に入れることが増えましたし、選手のコメントを見ても「以前よりタスクが減った」と、シンプルにプレーしています。以前より迷いなくプレーできているのかなという印象です。

 ビルドアップはみんな大好きだと思いますし、「ここにこの駒を置いて」「ここに立ったらここが空くから」みたいな将棋っぽいところもあるので男子が好きなのはわかるんですよ。

 でも、あくまでも相手より数多くゴールを生むための、相手陣に入るための手段のひとつじゃないですか。そこにパワーを使いすぎて、大事なところでパワーを出せなかったら意味がないですよね。僕もビルドアップが嫌いなわけではないんですけど、やりすぎたらいかんよと思います。

 高木監督になっての初戦がアウェーのロアッソ熊本戦でしたが、ここですごいなと思ったのが、スタメンに澤田崇選手や米田隼也選手を使ったことです。長崎にはいい選手がいっぱいいますけど、これまで長崎を支えてきた選手をここでバンっと使うのはちょっと痺れました。

 実際に澤田選手が得点しましたし、米田選手も次の試合で点を取りました。もちろん、うまい順に並べるという作戦もありでしょうけど、そのチームで誰が大事なんですかっていうところもすごく大事だと思うので、澤田選手や米田選手がスタメンで出て、エジガル・ジュニオ選手がベンチにいますという、こういう苦しい時に誰を使うかっていう高木さんの采配はすげえなって思いましたね。

 監督が変わると、すぐにやり方を変えるのか、システムを変えるのかという感じの見方になるけど、そういうところが実は一番大事なのかなと思いますね。前の監督がどういうサッカーをしていたから勝てなかったんだじゃなくて、このチームが勝つために何が一番大事なのかをシンプルに出して、さらにそこで勝った。

 高木さんは社長から監督になって相当な重圧があると思いますけど、高木さんだからできるというか。長崎出身で経験値も他の人とは比べものにならなくて、選手もチームも知り尽くした人で、昇格を経験しているからできることなのかなと思います。

 再開初戦がホームの仙台戦というのも因縁ですよね。昨シーズンのプレーオフを頭に入れて観るひとも多いだろうし、のちのち振り返った時に、「あの再開初戦の長崎対仙台の結果は大きかったね」となる気がしています。

 3週間空いての対戦になるので、高木さんもやりたいことを仕込んでくると思うし、仙台の森山佳郎監督もめちゃめちゃ仕込んでくると思います。昨年のプレーオフの時も3週間くらい空いていて、長崎を研究して力を出させずに仙台のリズムになった。この対戦は絶対に面白くなりますよ。

>>後編「思わず見に行きたくなる魅力的なクラブ」へつづく

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【動画】平畠啓史のJ2前半戦総括・V・ファーレン長崎/藤枝MYFC編↓↓↓

著者プロフィール

  • 平畠啓史

    平畠啓史 (ひらはた・けいじ)

    1968年8月14日生まれ。大阪府出身。芸能界随一のサッカー通として知られ、サッカー愛溢れる語り口が人気で、多くのサッカー関連番組の出演中。平畠啓史Jリーグ56クラブ巡礼2020 日本全国56人に会ってきた」(ヨシモトブックス)など、サッカー関連の著書も多い。

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