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【Jリーグ】J2ウォッチャー平畠啓史の注目クラブ 「昇格したらすごいドラマ」2025シーズン中間報告 (3ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu

【形が出てきてもっと上に行くのでは】

 ジュビロ磐田は、4月に3連敗があったり、そのあともFC今治に3失点とか北海道コンサドーレ札幌に2失点とかが続いて失点がちょっと多いんですけど、その3連敗のあとから「形が出てきたな。なんか強いな」っていう感じがしてきましたね。

 シーズン当初は右にジョルディ・クルークス選手、左に倍井謙選手を置いて、ウイングを強調するような形での攻撃が見えましたが、相手も対策してきた。そのなかで、左の倍井選手がちょっと中に入って変化をつけはじめて、面白くなってきたなと。最初は倍井選手が外に張って、左SBの松原后選手がインサイドの高い位置に入っていく形が多かったけど、今は倍井選手が中に入って松原選手が外に行くような変化が出てきています。

 逆に右サイドは、ジョルディ・クルークス選手が張り続けていてもボールを預けたらクロスが上がるので、ずっと張り続けている。ちょっとやそっとじゃ折れへんぞという部分と、ちょっと変化をつけていく部分の絶妙なやり方が面白い。

 シーズン途中からはだんだんとロングボールも増えてきましたが、最初からサイドに蹴るんじゃなくて、まず縦に入れておいて相手を絞らせて、よりサイドを生かしています。シーズンを追っていくなかで、自分たちのストロングをより生かすために工夫しているのが見える。

 1トップには渡邉りょう選手が起用されていますが、体は強いし、泥臭いこともできる。彼のところで相手のDFラインを下げさせて、そこからサイドを使っていくやり方がうまくマッチしているなと思います。そうすることでトップ下の角昂志郎選手や佐藤凌我選手が活躍するスペースもだんだんと生まれてきています。190cmあるマテウス・ペイショット選手やサイドで川﨑一輝選手が途中から出てきてチャンスを作ったり、戦い方の幅が試合毎に増えていっています。

 第20節では千葉に1-0で勝っていますが、この試合の磐田はちょっとやばかったですね。戦闘体勢というか、戦うぞっていう感じがすごく伝わってきていた。どのチームもそういうところを出そうとしていると思いますが、あれだけ見えてくるのはすごい。

 夏の移籍で井上詩音選手を獲得したあたりも抜かりないなと思いましたし、もっと上がってくるんじゃないかなと思います。

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