【Jリーグ】J2ウォッチャー平畠啓史の注目クラブ 「昇格したらすごいドラマ」2025シーズン中間報告 (2ページ目)
【攻守にバランスよく粘り強い】
水戸ホーリーホックは、勝利数1位で負け数もいちばん少ない。8連勝を含む15戦負けなしもあって、それは首位でしょうっていう感じです。ホームで負けていないところもすばらしい。
攻撃だけ、守備だけ、じゃなくて、本当に攻守のバランスが取れている。どこかを抑えたら機能不全に陥るチームじゃないところが強さかなと思っています。
新加入の渡邉新太選手の存在も大きいですね。奥田晃也選手と組む時はセンターフォワードっぽくなって、寺沼星文選手と組む時などはちょっと下がってセカンドトップ気味にもプレーできる。どちらでも自分の力を出せる選手の存在はすごく大きいと思いますし、FWにすごく厚みが出ました。
栃木SCから加入した左サイドバック(SB)、大森渚生選手の存在もめちゃくちゃ大きいと思っていて、攻撃に加わった時は精度の高い左足クロスからチャンスを生みだして、右の飯田貴敬選手が上がって3バック気味になった時の守備力もあって守れます。
大森選手が加入したことによって、大崎航詩選手をボランチで使えるようになった効果も絶大でした。監督のコメントにもあったと思うのですが、大崎選手がケガで出遅れたけど練習ではすごく調子よくて、ただ左SBには大森選手がいる。でも大崎選手も使いたいと考えてボランチで使ってみたらすごくよかったと。守備力はあるし、密集でも細かくパスをつないでいけます。
それと、いまの守備陣のレギュラーはGKが西川幸之介選手、DFラインが右から飯田選手、板倉健太選手、鷹啄トラビス選手、大森選手となっていますけど、全員今季の新加入選手なんですよね。シーズン途中から加入した塚川孝輝選手や加藤千尋選手もすぐにフィットしています。
これは水戸が、選手が頑張って活躍したらよそに出ていくという歴史を繰り返してきたなかで、新しい選手をすぐに戦力としてフィットさせるやり方が、歴史のなかでできあがってきているんじゃないかと。新戦力でちゃんとした守備を作れている。他のチームの監督さんも言い訳できませんよ(笑)。
ただ、じゃあなんでここまで強いのかと言われたら、「わからない」って答えるのが正解なのかなとも思っています。「こういう戦術で、これがこうだから強い」と説明しようと思えばできるんでしょうけど、僕のなかでははっきりした理由があるようで、ないような。
圧倒的な強さではなく、どの試合も粘り強く勝っている感じなので、「水戸強かったな」というよりも「勝てたんじゃないか」という相手チームが多いと思うんですよ。でも逆に言うと「次はあそこを抑えれば勝てるぞ」っていうポイントもあんまり見つかってないんじゃないかなと。
そこが今の水戸のよさや面白さみたいなところだと思いますし、このあともあんまり落ちないんじゃないかという雰囲気があります。チームも成功体験で「勝てるぞ」となってきていきていて、自分たちのやっているサッカーが間違いじゃないと実感してきていると思うので、そこがうまく続けばなと。
僕らみたいにJ2をずっと見ている人間からしたら、水戸が昇格するなんてすごいドラマだし、映画化できるぞってくらいの気持ちですよね。
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