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【Jリーグ】今季J2の魅力的なクラブをサッカーマニア平畠啓史が語る 「中盤の3枚がやばい」チームは?

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu

平畠啓史の2025シーズンJ2中間報告 後編

 日本屈指のサッカーマニアで「J2ウォッチャー」として知られる平畠啓史さんが、2025年J2のここまでとここからを語る。読んだら思わず見に行きたくなる、魅力的なクラブの存在を明かしてくれた。

>>前編「昇格したらすごいドラマになるクラブ」

J2第23節終了時で順位を4位にまで上げてきたサガン鳥栖 photo by Getty ImagesJ2第23節終了時で順位を4位にまで上げてきたサガン鳥栖 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る【動画】平畠啓史のJ2前半戦総括・徳島ヴォルティス編↓↓↓

【戦略を想像する楽しみ】

 徳島ヴォルティスは23試合を戦って13失点。守備が堅いですよね。ただ、ガチガチに後ろに引いて、絶対失点しないぞ、みたいな感じではないんですよ。それなのに失点が少ないところに、徳島のすごさがあると思います。

 増田功作監督は大好きな監督のひとりで、横浜FCのコーチをされていた時からけっこうお話をさせていただいたりしていました。「相手に勝つために、どうやったらこっちが優位になるか」をすごく考えている監督さんだと思いますし、戦術よりも戦略のほうをすごく考えていて、1週間の練習のなかでしっかりとチームに落とし込んで戦っているのが、失点の少なさにもつながっているのかなとも思っています。

 例えば、左ワイドの高木友也選手のポジションをすごく高めに置いてみたり、2トップのように見えるけどルーカス・バルセロス選手が下がってきたり、杉本太郎選手が中盤だけどトップ下に見えたり。絶妙のずれ具合というか、きれいなシステムに並んでいない。あれはたぶん、相手のストロングやウィークを考えてやっていると思っていて、それを想像する面白さを与えてくれます。

 でも増田監督は、そういうインテリジェンスな部分だけじゃなくて、試合を見ていたらすごくパッションなんですよね。そこのバランスがすごくいい。勝った時のガッツポーズなんかは本当に喜んでいて、この人も戦ってるな、戦う姿勢がちゃんと選手に乗り移ってるなというところが好きですね。

 チームは中盤の3枚がやばいですね。鹿沼直生選手、児玉駿斗選手、杉本選手が組むことが多いですが、鹿沼選手はハードワークできてカバーするエリアの広さもすごいけど、攻撃でも前線に行ってゴールを決めたりできる。児玉選手はテクニシャンでドリブラーだと思っていたけど、守備意識の高さも半端なくて、プレスバックもすごい勢いで戻ってきます。杉本選手はもともと技術の高い選手でしたが、狭いところでボール持ってスルーパスを通したり、いぶし銀の仕事もできて本当にいい働きをしています。

 この3枚はJ2でもトップレベルの域に達していると思いますし、ここが健在であれば徳島の強さは保てると思います。失点の少なさという部分では、もちろんセンターバックの強さやGKのよさもあるけど、この中盤3枚の攻守に渡っての働きぶりが今シーズンの徳島の象徴的なところだと思います。

 もうちょっと点が取れるとぐっと上に行きそうな感じもしますし、増田監督も考えてらっしゃると思うけど、そこが増えていけば順位は自ずと上がって、自動昇格権にも十分入っていけると思います。

 ここまで手も足も出ませんでしたっていう負けゲームは、たぶんなかったんじゃないかなと思いますし、自信を失うような負けをしていないと思います。

 J2は3週間くらいのインターバルを挟んで8月に再開しますけど、徳島は再開初戦が愛媛FC相手の四国ダービー、次がアウェーのベガルタ仙台戦、さらに次がアウェーの千葉戦です。この3試合がすごく大事になると思っていますし、3連勝か2勝1敗くらいで行けたら、終盤に向けていい流れになるかなと思っています。

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著者プロフィール

  • 平畠啓史

    平畠啓史 (ひらはた・けいじ)

    1968年8月14日生まれ。大阪府出身。芸能界随一のサッカー通として知られ、サッカー愛溢れる語り口が人気で、多くのサッカー関連番組の出演中。平畠啓史Jリーグ56クラブ巡礼2020 日本全国56人に会ってきた」(ヨシモトブックス)など、サッカー関連の著書も多い。

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