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【Jリーグ】ファジアーノ岡山のFWルカオは異色の経歴「自分のプレー映像をYouTubeにアップした」

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由

ファジアーノ岡山 ルカオ インタビュー 前編

 Jリーグは現在、じつに多くの国から、さまざまな外国籍選手がやってきてプレーするようになった。彼らはなぜ日本でのプレーを選んだのか。日本でのサッカーや、生活をどう感じているのか?

 今回はファジアーノ岡山のFWルカオをインタビュー。ブラジルから北マケドニア、ギリシャを経てJリーグという異色の経歴を語ってもらった。

ファジアーノ岡山のルカオをインタビュー。Jリーグでプレーするようになった経緯を聞いた photo by Igawa Yoichiファジアーノ岡山のルカオをインタビュー。Jリーグでプレーするようになった経緯を聞いた photo by Igawa Yoichiこの記事に関連する写真を見る

【9月に30歳を迎えるブラジル人】

 謎に包まれたキャリアを持つブラジル人ストライカーが、ファジアーノ岡山で奮闘している。191センチの長身に際立つスピードとパワーを備え、相手を薙ぎ倒していくようなスタイルから、"重戦車"の異名を取るルカオだ。

 今季からJ1に初挑戦しているクラブの背番号99について調べると、21歳以前の所属先がない。インターネットの百科事典によると、彼は2016年に母国のミナスジェライス州ベロオリゾンチ郊外のアーセナルMGでプロとなり、以降は北マケドニアの2クラブ、ギリシャの3部チームを渡り歩き、2019年に鹿児島ユナイテッドに加入。そこからツエーゲン金沢、松本山雅FCを経て、2023年春に岡山に移っている。

 ブラジルのマイナークラブ、欧州の辺境、日本のJ3、J2を経験して、今季から岡山と同様に、初めてJ1を戦っているのだ。

 もうかつてのように、J1で一線級の外国籍選手を見る機会はほぼなくなった。だがそれにしても、これほどまでに控えめな経歴のブラジル人選手も珍しい。しかもキャリアの浅い若手ではなく、9月に30歳の誕生日を迎えるフットボーラーである。

 興味をそそられるルカオとのインタビューの日取りが決まり、その直前の週末に横浜F・マリノスとのアウェー戦を取材すると、彼は5試合ぶりに先発し、見事にこの試合唯一のゴールを決めた。これが今季3得点目ながら、3月にはマリノスとのホームゲームでも同様の結果を残しており、低迷する名門クラブとの相性のよさを印象づけた。

 翌週、小雨の舞う6月下旬の岡山にルカオを訪ねると、はにかんだ笑顔で肩を叩いて歓迎してくれた。試合後のミックスゾーンで、こちらから拙いポルトガル語で挨拶していたのが、よかったのかもしれない。

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著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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