浦和レッズが好転した要因を福田正博が分析 クラブワールドカップの見通しは? (3ページ目)
【クラブW杯の相手は試合巧者ばかり】
6月14日から7月13日まで(現地時間。以下同)アメリカで開催されるが、浦和はグループリーグでリーベルプレート(アルゼンチン)と6月17日、インテル(イタリア)と6月21日、モンテレイ(メキシコ)と6月25日に対戦し、グループ2位までに入れば決勝トーナメントに進出できる。
浦和が世界の強豪とガチンコ勝負できるのは、このうえなく楽しみなのだが、個人的には初戦でインテルと当たってもらいたかった。前回W杯での日本代表がそうだったように、相手に油断やスキがあるほどジャイアントキリングは起こりやすい。インテルはUEFAチャンピオンズリーグ決勝の大一番を5月31日に戦うだけに、彼らにひと泡吹かせるにはその後のクラブW杯初戦が可能性が高いと見ていたからだ。
対して、初戦の相手リーベルは油断とは対極にある。選手たちはヨーロッパへの売り込みの舞台と考え、手を抜くどころか、いつも以上のプレーをする可能性さえある。3戦目のモンテレイにしてもメキシコ代表がそうであるように、戦い巧者ぶりやテクニックでつい唸ってしまうようなチームだ。
浦和がJ1での順位が下位に低迷したままだったら、さすがに彼らも油断したかもしれないが、現状ではそれは望めない。スキを突く戦いが難しいなかでは、決勝トーナメント進出も厳しくなるのではと感じている。
とはいえ、浦和の勝利を期待していないわけではない。力が上の相手に対して勝つには、得点を与えないことが最優先事項になる。そのためにはやはりGKの西川周作の活躍は不可欠だ。西川のビッグセーブで浦和の選手たちを波に乗せてもらいたいと期待している。
ACLエリートで決勝まで進んだ川崎フロンターレが、大会後のJ1で疲弊した姿を見ると、浦和にもクラブW杯後に同様のことが起こりえると想像できる。ただ、J1を戦うだけでは得られないものが、クラブレベルの国際大会にはある。それだけに、浦和には勝利だけを目指して世界の強豪クラブとの対戦に臨んでもらいたい。
著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
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