悩める長沢駿にすべてを見抜いていた曺貴裁監督からの叱咤 点を求める「メラメラした気持ち」がよみがえった (4ページ目)
そう思ったら吹っきれたというか。そもそも(自分は)ベテランらしい振る舞いができるタイプでもないんだから、変な小細工はやめて、真っすぐに点を取ることを求めよう、と。そう思った途端にまた、メラメラした気持ちがよみがえってきました」
それは、過去18年のキャリアにおいて、自分を何度も蘇らせてもらった"あの光景"を見るためでもある。
「僕はゴールを取るのも好きですけど、自分が点を取ったあとのスタンドの雰囲気や、チームメイトやスタッフが喜んでいる姿を見るのがすごく好きなんです。自分のゴールであんなにもたくさんの人が喜んでくれる瞬間って、点を取った人にしか感じられないことだし、プロサッカー選手だから味わえる醍醐味だとも思う。
だからこそ、これからもその瞬間をできるだけたくさん味わいたい。欲を言えば、見ている人が『うわ、長沢っぽい!』と言ってくれるようなゴールを......いや、1点は1点だから、PKでもなんでもいいな(笑)。クロスボールからヘディングで合わせるのでもいいし、足で決めるのでもいい。京都で早くその1点目を刻んで、みんなが喜ぶ姿を見たいです」
背番号は、昨年に引き続き「93」を背負う。実はサッカーを始めた幼稚園の時に、初めてもらった背番号だという。
「去年、再契約してもらった時に、初心に戻ろうと93をつけて、でも満了になって、また初心に戻りました(笑)。何回、初心に戻っても、何度でも這い上がって見せます」
同じ"初心"でも去年と大きく変わったのは、いつか「引退」を突きつけられる日が来ることを恐れなくなったこと。それ以上に今はただ、自分を信じて、一心不乱に点を取ることに気持ちを注いでいる。
(おわり)
長沢駿(ながさわ・しゅん)
1988年8月25日生まれ。静岡県出身。清水エスパルスのアカデミーで育ち、2007年にトップチームへ昇格。2011年にJ2のロアッソ熊本へ期限付き移籍。翌2012年には同じくJ2の京都サンガF.C.へ、2013年には松本山雅FCへ期限付きで移籍した。その後、2014年に清水へ復帰し、2015年にガンバ大阪へ完全移籍。以降、ヴィッセル神戸、ベガルタ仙台、大分トリニータでプレーし、今季から京都に加入。得点感覚に優れた大型ストライカーだ。
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