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【Jリーグ】横浜F・マリノスが心配だ...ようやくリーグ戦初勝利も選手からは「今日は結果だけという感じ」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 言うまでもなく、どんなに強いチームでも、すべての試合が狙いどおりになるわけではない。ときには思うようにいかず、我慢を強いられる展開が続くこともあるだろう。

 だが、うまくいっているチームというのは、そのときの展開なりにやるべきことが共有され、ポジティブな空気が漂うもの。ところが、今の横浜FMを見ていると、選手の身振り手振りなどからは、彼らがフラストレーションをためている様子が垣間見えてしまうから不安になる。

 誤解を恐れず言えば、現時点での順位や勝ち点は、それほど気にする必要はないだろう。実際、横浜FMがJ1を制した2019年を振り返れば、その前年は苦戦続きで、12位に終わったチームを不安視する声が少なくなかった。

 それでも、当時の横浜FMに好感を持てたのは、何より目指す方向性がはっきりとピッチに表れていたから。自分たちはどんなスタイルで頂点を目指しているのかがうかがえたからだ。

 ボールを保持するばかりでゴールが奪えず、逆にカウンターでの失点を増やすなど、ネガティブな要素がフォーカスされてしまうことも多かったが、少なくとも彼らのチャレンジは興味深いものに映った。

 しかし、そんな横浜FMの魅力も、今季はすっかり影を潜めてしまっている。

 もちろん、ACLとの兼ね合いが、彼らの戦いを厳しいものにしていることは間違いない。

 まだ新しいシーズンが開幕したばかりの時期に、気候も環境も異なる海外への遠征も含めて、多くの試合をこなさなければいけないばかりか、じっくりと腰を据えてトレーニングすることもできなくなる。ACLに出場していないチームに比べ、横浜FMが不利な条件で戦っていることは確かだ。

 そんななかでも、ACLでは準々決勝進出。今季から指揮を執るスティーブ・ホーランド監督が、「(J1とACLを合わせて)公式戦9試合で5勝3分1敗。もっと成長しなければならないが、安定したスタートがきれた」と語るように、ここまでの結果には納得すべきなのかもしれない。

 しかし、2019年から2022年までの4シーズンで2度のJ1制覇を果たした横浜FMに期待されるのは、上位進出ではなく、タイトル奪還だろう。

 昨季J1にしても最終順位こそ9位で収まったが、シーズン途中はふた桁順位に沈む時間も長く、優勝争いとは無縁のシーズンを過ごしている。

 それだけに、今季は巻き返しのシーズンとしたかったはずだが、結果だけでなく、内容的に見ても、その雰囲気は漂ってこない。

 新たな指揮官を迎えた横浜FMは、かつてのスタイルを取り戻そうとしているのか。あるいは、スタイルチェンジを図ろうとしているのか。

 ピッチ上からは、断固とした決意よりも、むしろ選手の迷いや戸惑いを感じてしまう。

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