【Jリーグ】柏レイソル指揮官リカルド・ロドリゲスは名将か 監督選びの根拠が薄弱すぎる (3ページ目)
【監督になるのが遅すぎる】
結局のところ、監督は覚悟を持って戦った場数次第なところがある。
少なくとも、監督ライセンスで名将は生まれない。アンバサダーや解説者やコーチに従事しながら、10年もかけてライセンスを取得するシステムは合理性に欠ける。時間がかかり過ぎるし、世界に比肩する監督が生まれるはずもない。
スペインでは30代後半から名将の威光のある監督が出ている。ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)、ウナイ・エメリ(アストン・ビラ)などはすでに熟練の域だが、シャビ・アロンソ(レバークーゼン)、アンドニ・イラオラ(ボーンマス)、ミケル・アルテタ(アーセナル)、イニゴ・ペレス(ラージョ・バジェカーノ)などが新たに台頭している。彼らは1年で最高位の監督ライセンスを取得し、引退後ただちに転身できているのだ。
「イングランドでは日本以上にライセンス取得が大変だ」と、日本のライセンス制度を正当化する声もあるが、イングランド人の名将はいるか。監督は教えられてなるポストではない。コーチとはまるで違うのだ。
今や日本人選手が当たり前のように欧州挑戦を続けているにもかかわらず、監督は国内で汲々としている状況にある。50歳前後で監督デビューする状況ではドメスティックにならざるを得ない。
選ぶ側が、真剣に良将を求めるべきだろう。
昨シーズンまでサガン鳥栖を率いた川井健太監督は成績不振を理由に解任されたが、筆者には、彼を在野のままにするなどクラブ側の見る目がなさすぎるように思える。傾いたチーム(現在の鳥栖の体たらくを見たらわかるだろう)で、彼がどれだけ選手の才能を目覚めさせ、上位クラブに送り出したか。選手を成長させることこそ、名将たる条件である。
日本に監督がいないわけではない。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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