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日本で、世界で最もサッカーが見やすいスタジアムは? ポイントは「俯瞰的に」見えるかどうか (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【ピッチが見やすい状況とは?】

 では、試合が最も見やすいスタジアムはどこだろうか?

 僕のお気に入りは、2020年に京都府亀岡市に完成した「サンガスタジアム by KYOCERA」。京都サンガF.C.のホームスタジアムである。

 このスタジアムの記者席は、西側メイン2層目スタンドの最前列にある。席に座ると目の前にピッチ全体が俯瞰的に見えるのだ。

「俯瞰的に」というのがポイントだ。試合全体の流れを見ることができるからだ。

 たとえば、国立競技場の記者席もメイン3層目スタンドの高い位置にあるから「俯瞰的に」は見える。だが、あまりに高すぎる。それに、陸上のピッチがあるから水平距離も遠くて、選手は豆粒のようにしか見えない。遠いサイドの選手の背番号も見えないし、細かなプレーまではとても見えない。

 最近は各地にサッカーまたは球技専用スタジアムができている。さすがにどこも試合が見やすい。だが、サンガスタジアムは2層目でもそれほど高い位置ではないので、「俯瞰的に」見えると同時に選手までの距離が近くて大変に見やすいのである。

 つまり、数式にすると、「(角度)/(ピッチからの水平距離)×(高さ)=(見やすさ)」ということになる。スタンドの傾斜が急であれば水平距離も近くなる。

 ミラノのサンシーロ(スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ)は世界的な名建築の一つだ。ここの記者席もメイン側2層目の上のほうにあり、まさに「俯瞰的」に見える。スタンドの傾斜も急だし、サッカー専用だから水平距離も近い。しかし、かなりの高さなので選手はやはり小さくしか見えない。

 というわけで、僕がこれまで経験したなかではサンガスタジアムが「見やすさ指数」的に最高なのだ。

 だが、世界にはもっと"究極の観戦環境"を備えたスタジアムがある。

 アルゼンチンの名門ボカ・ジュニアーズのホーム、「エスタディオ・アルベルト・J・アルマンド」(通称ラ・ボンボネーラ)だ。

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