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引退した森脇良太が振り返る現役生活20年の原点「公園の水道をシャワー替わりに......」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【一番下からのスタート「絶対に見返すぞ」】

── 引退を決意した時は、寂寥感はあったのでしょうか。

「不思議となかったんですよ。当然、ずっと情熱を燃やしてやってきたことなので、サッカー選手を辞めるという寂しさは少しはあったんですけど、やりきったという思いのほうが強かったですね。

 この20年間、自分のすべてを出しきったという意味では、未練はまったくありません。むしろ今は、次のステージに向けてワクワクしている自分がいます。もちろん、悔しい思い出はたくさんあるんですけど、サッカー人生において悔いはまったくないですね」

最後は愛媛FCでユニフォームを脱いだ photo by Getty Images最後は愛媛FCでユニフォームを脱いだ photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る── 現在の心境はいかがでしょうか。

「正直、実感がないというか。セレモニーをしてもらえたり、花束をもらったりしたので引退したんだなとは思うんですけど、今は例年どおりのシーズンオフを過ごしているような感覚ですね。

 家にいても、子どもがまだ小さいので毎日バタバタしていて、じっくりと現役時代を振り返る時間もなく、引退したという実感が湧いてこないんですよ。もしかしたら新シーズンが始まったら、引退したと思うかもしれません。みんなはキャンプをやっているのに、俺は家にいるなって」

── 2005年にユースから昇格し、広島でプロのキャリアをスタートさせました。プロ1年目はなかなか試合に絡めませんでしたが、当時はどういった心境でしたか。

「僕がプロになった時、ユースから全部で5人が昇格したんですよ。僕のほかに、前田(俊介)、佐藤(昭大)、髙柳(一誠)、桒田(慎一朗)。あと高校生の時にプロ契約を結んでいた(髙萩)洋次郎も含めれば、同期は6人いました。

 そもそもトップ昇格が決まった時に、強化の人から『良太は6番目や』と言われていました。上げようか、大学に行かそうか、悩んだと。でも、『良太には可能性があるから、トップでやってもらう。ただ、これから多くの努力が必要だよ』って言われて。

 本当に一番下からのスタートだったので、とにかくやるしかなかったですね。絶対に見返すぞ、絶対に一番を取ってやるんだっていう思いでプロになりました」

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