Jリーグ残り4試合のクライマックスを福田正博が解説 優勝&残留争い、中位の試合も面白い (2ページ目)
【夏場の移籍・補強がポイントだった】
振り返れば、今シーズンのJ1優勝争いは、夏場の移籍市場が明暗を分けたと言ってもいいだろう。広島は前半戦で2桁得点をマークしていた大橋祐紀がブラックバーンに移籍し、攻守の要だった川村拓夢がザルツブルクに移籍したが、3年ぶりに広島に復帰した川辺駿が川村の穴を埋め、新たに獲得したトルガイ・アルスラン、ゴンサロ・パシエンシアの外国人選手もハマったことで、大橋が抜けて懸念された得点力低下を解消した。
町田も戦力補強に動いたが、得点力のところで思い描いたようにはならなかった。優勝争いをするチームは、夏場に若い主力選手が海外クラブに引き抜かれる可能性も高い。前半戦はそうした選手がいることで優勝争いに加わるのだが、その選手が抜けたあとのシーズン途中の補強が課題になって優勝を逃してしまう。
これは町田に限らず、上田綺世(フェイノールト)が引き抜かれたシーズンの鹿島などもそうだった。夏場の移籍という課題を見越したチームづくりも、今や優勝を手繰り寄せる要素になっているだろう。
その点で言えば、神戸はシーズン通じてメンバーの顔ぶれが大きく変わらない強みを生かして、優勝争いに最後まで残っている。大迫勇也や武藤嘉紀らの経験豊富な元日本代表選手たちを基軸にしたチームは、シーズンを通じて成熟した戦いぶりを見せてきた。
大迫が抜けると攻撃力や得点力がガタ落ちになる弱点はあるが、今季はその大黒柱が安定して試合に出続けてポイントを上積みしてきた。ボールを奪ったら素早く展開して相手ゴールに迫る、神戸ならではの理詰めのサッカーは、ここからの終盤戦でも陰ることはないだろう。
2連覇を狙う神戸が追う立場にいるのは、広島にとってはプレッシャーになるかもしれない。ただ、優勝するためには重圧があって当たり前で、広島の戦いぶりも重圧を受けてもブレる要素は小さい。それだけに最後の最後に優勝シャーレを掲げるのが、どちらになるのかはまったく見当がつかない。最後のホイッスルが鳴る瞬間まで優勝争いを楽しみたいと思う。
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