J1より気になる? J2の白熱した戦い プレーオフはリーグを最後まで盛り上げる絶妙な制度 (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【焦点は6位以内の昇格プレーオフ圏争い】

 首位決戦が引き分けに終わり、首位の清水と2位の横浜は勝点1差のまま。3位のV・ファーレン長崎が失速気味のため、両チームの自動昇格はほぼ決まりといっていいだろう。

 そうなると、J2の焦点は6位以内の昇格プレーオフ圏争いに移る。

 清水と横浜の首位決戦の翌日、3位の長崎がファジアーノ岡山に敗れたため、長崎と4位岡山、5位ベガルタ仙台との勝点差が5ポイントに縮まり、さらに勝点3の差でジェフユナイテッド千葉が6位に入っている。

 千葉は、昨年就任した小林慶行監督の下、真っ向から勝負する戦いのなかで、選手個々の成長が著しい。トップの小森飛絢は第32節のレノファ山口戦でのハットトリックに続いて、第33節愛媛FC戦でも2得点。J2の得点王争いでトップに躍り出た。また、MFの品田愛斗が急成長。テクニックを生かして、中盤で試合の流れを変える仕事をこなしている。

 今の好調さが続けば、千葉はさらに上位を狙えるチームだろう。

 しかし、千葉と9位の山口との差もわずかに5ポイント。J2の残りは各クラブ5試合で、熾烈な昇格プレーオフ圏内争いが最後まで続きそうだ。

 J2の3位から6位までが参加する「J1昇格プレーオフ」は2012年に始まったもので、すでに10年以上の歴史がある(この間、2018年から22年までは、J1リーグの16位も参加する「J1参入プレーオフ」)。その間には、それぞれのクラブのサポーターにとっては忘れられない、悲喜こもごものドラマがあった。

 一発勝負であり、たったひとつのゴールがクラブの歴史を変えてしまうドラマ性が人々を引きつけるのだ。

 そして、また、昇格プレーオフの存在によって、J2(J3も同じだが)は最後まで盛り上がることになる。

 もし昇格プレーオフがなくて、2位までの自動昇格だけという制度だったら、すでに清水と横浜の昇格が事実上決まっている今年のJ2は、「J2残留争い」以外は"消化試合"となってしまうところだった(その残留争いも、現状を見ると早期決着の可能性がある)。

 J2の盛り上げのためにも、昇格プレーオフがあって本当によかった、のだ。

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