J1より気になる? J2の白熱した戦い プレーオフはリーグを最後まで盛り上げる絶妙な制度 (3ページ目)
【リーグ戦にプレーオフは邪道か!?】
ただし、このように様々な意味で魅力的なプレーオフだが、リーグ戦のあり方として"邪道"であることは間違いない。
ホーム&アウェー方式による勝点制のリーグ戦というのは、順位決定の方法として最高のものだからだ。
1888年にイングランドで世界最初のフットボールのリーグ戦が始まった。世界最初だから、名称に「イングランド」という国名はついていない。「ザ・フットボール・リーグ(FL)」である。
12クラブが参加して始まったFLは、勝点制で優勝を争うことになった。
新リーグがお手本としたのは、先に始まっていたアメリカのベースボールリーグだった。だが、引き分けがないベースボールリーグでは勝率で順位を決めていたが、引き分けが多いサッカーでは、それでは正当にチーム力を測れない。そこで、導入されたのが勝点制だった。勝利には勝点2、引き分けには勝点1が与えられ、シーズン終了時の合計勝点で順位を決めた。
それから136年が経過した。
この間、1981年には勝利へのインセンティブを上げるために、勝利時の勝点を2から3に増やしたものの、「勝点制」という順位決定方法は維持されている。これ以上、公平な順位決定方式が見つからないからだ。
だから、リーグ戦の順位は勝点によって決めるべきなのである。
アメリカのプロスポーツは、リーグ戦のあと「ポストシーズン」と称するプレーオフを行なって優勝を決める(メジャーリーグでは、いよいよポストシーズンが開幕。大谷翔平をはじめ、数多くの日本人選手が出場する)。オーストラリアのスポーツでも、アメリカとは方式が違うがプレーオフが行なわれる。
したがって、サッカーでもアメリカのMLSやオーストラリアのAリーグでは、それぞれの国で一般的な方式のプレーオフが行なわれている。
だが、サッカーの本場であるヨーロッパではプレーオフは行なわれず、リーグ戦で勝点を最も多く獲得したクラブがチャンピオンとなる。
日本では、Jリーグが始まった当初は2ステージ制(1996年を除く)で、前、後期の優勝チーム同士の「チャンピオンシップ」で年間王者を決めていた。2ステージ制は2004年までで終了。2015年に2ステージ制が復活したが、わずか2年で廃止。2017年以降は1ステージ制で優勝を決めている。
2ステージ制だった2016年には、年間勝点74の浦和レッズがチャンピオンシップで年間勝点59の鹿島アントラーズに敗れて準優勝扱いとなり、すでに勝点による順位決定に慣れていたファンから批判の声が上がった。
だから、昇格プレーオフも本来なら"邪道"なのである。
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