45歳・稲本潤一、41歳・今野泰幸が現役にこだわる理由 「引退」についての率直な思いも吐露した

  • 高村美砂●取材・構成 text by Takamura Misa

ベテランプレーヤーの矜持
~彼らが「現役」にこだわるワケ
第7回:稲本潤一&今野泰幸(南葛SC)(3)

百戦錬磨のキャリアを積み上げながら、たとえステージが変わっても、今なお現役として戦い続ける30代後半~40代の選手にスポットを当てた同連載。今回は日本代表でも中心選手として活躍し、一時代を築いたふたりのトッププレーヤー、南葛SCの稲本潤一と今野泰幸を直撃。現役にこだわる理由や、迫りくる"引退"について、それぞれの考えを聞いた――。

◆(1)稲本潤一&今野泰幸はなぜ、地域リーグの南葛SC入りを決めたのか>>

◆(2)稲本潤一と今野泰幸が語る、南葛SC風間八宏監督のサッカー>>

――ここまでは攻撃に関する話がほとんどでしたが、守備については風間八宏監督からどんなことを求められているのでしょうか。

稲本潤一(以下、稲本)正直、そこまでたくさんのことは求められないです。でもフロンターレ時代に比べると、多少は求められるようになったし、多少は練習もするようになりました。

今野泰幸(以下、今野)フロンターレ時代は(守備のことは)ほぼ言わなかったんですよね?

稲本 うん、まったく。自分たちがボールを保持していたら守備をしなくていいだろう、的な考え方やったから。その当時に比べると、風間さん的にはかなり守備のことを求めている感覚なのかも。

今野 しかも、その守備も、前の状況を見ながら、後ろの動きを決めるというような、バルセロナのような守備を理想とされていますからね。正直、それも僕にとっては初めての守備のやり方なので、めちゃめちゃ難しいです。どこから奪いに行くのか、どこでハメるのかではなく、前の動きに合わせて後ろが判断して動かなければいけない分、相当な強度も求められますしね。

稲本 だから、コミュニケーションは不可欠。相手DFに対して前線がまっすぐ寄せれば、このエリアは完全に機能しないよね、的な考え方だから、寄せ方の角度だったりをチームで合わせられなければボールは奪えなくなってしまう。そのベースには今ちゃん(今野)の言う個々の強度も不可欠だろうし。

今野 今の守備のやり方を教わるようになってバルサの試合とか見ると、ペドリとかえげつないもん。強度も桁違いだし、かなりのスピードで寄せて、外されたらまたかなりのスピードで戻って......ってしながらボールも受けるから、もうすごすぎる!

稲本 あの域にはどのチームもなかなか到達できひんやろな。

――おふたりが頻繁に口にされている「難しい」という言葉を踏まえても、風間監督のサッカーで結果を求めるのは大きなチャレンジになりそうですね。

稲本 正直、時間はかかると思います。ただ、さっきも少し話したように、僕が加入して3シーズン目で、過去2シーズンのチャレンジでは勝てなかったという事実もあるので。もはや僕ら自身も、昇格のための正解がわからなくなっているなかで、この新たなチャレンジを信じてやり続けるしかないのかな、と。

 実際、今年はここまでシーズンを進んできたなかでも、風間さんがほとんど順位のことは口にしていないことや、ひたすらチーム、個人を育てることに特化していることからも、風間さん自身もすぐにこのサッカーが結果として実を結ぶとは......結べばもちろんそれがベストですけど......考えていない気がします。

 ただ、クラブを含め、そうは言ってもいつまでも結果が出なくてOKではないと思うから、どこかで今のサッカーを結果とリンクさせる瞬間が必要やろうけど。

今野 もう、ペドリにオファーするしかないんじゃない!?

稲本 来てくれる?

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