川崎フロンターレ退団発表のFWゴミスが日本を語る「どこに行っても驚くほどに美しい」 (3ページ目)
【Jリーグは想像以上にレベルが高い】
「ピッチ上では、自分が思っていたようなパフォーマンスができていないからね。私はストライカーだから、ゴールを決めてチームの勝利に貢献しなければならないのに、それができていない」
確かに昨季の全公式戦の成績は14試合に出場してノーゴール、今季は9試合で3得点だった(第31節終了時点)。トルコやサウジアラビアの国内リーグ、ACLで得点王になった実績を持つ点取り屋からすれば、納得できない数字だろう。
「Jリーグは想像以上にレベルが高い」とゴミスは続ける。
「選手たちの技術やインテンシティ(プレーの強度)は高く、トランジション(攻守の切り替え)も速い。そしてどんなチームにも気は抜けない。下位のチームが上位のチームを倒すことも頻繁にある。それは、私がこれまでに経験してきたどんなリーグとも異なるものだ」
今年は初夏に入ってからコンディション調整に苦しみ、6月16日のヴィッセル神戸戦を最後に出場機会がなかった。ただし、それでもゴミスの話を聞いていると、彼の存在が貴重だと思えてくる。なぜなら現在39歳の元フランス代表は、これまでに自らが経験してきた多くのものを、川崎や日本サッカー界に還元したいと考えているように見えたからだ。
「私にオファーをくれた川崎には本当に感謝している。これは私にとってすばらしい経験となっているからだ。私はじきに現役を退くはずだが、その後もこの世界で仕事をしたいと思っている。指導者なのか、エージェントなのか、具体的にはまだわからないが、引退後も日本を訪れたいと考えているんだ」
――ヨーロッパと日本のフットボールをつなぐ架け橋のような?
「それはいいね。どんな形になるかわからないけれど、日本のサッカー界とコラボレーションしたい。私が見る限り、日本のサッカーには大きな可能性がある。それは間違いない」
対話を続けていくうちに、この世界的な現役のレジェンドが日本に残そうとしているレガシーが、次第に明らかになっていった。
中編「ゴミスが『日本のフットボールの未来は明るい』と確信する理由」へつづく>>
バフェティンビ・ゴミス
Bafetimbi Gomis/1985年8月6日生まれ。フランス南東部ラ・セーヌ=シュル=メール出身。国内の名門クラブ・サンテティエンヌのユースから2004年にトップチームデビュー。途中トロワへのローン期間を経ながらストライカーとして頭角を現わし、2009年にはリヨンに移籍して活躍。その後2014年スウォンジー、2016年マルセイユ、2017年からはガラタサライでプレー。2018年からはアル・ヒラルで3シーズン半、2022年から再びガラタサライでの1シーズンを経て、2023年の夏から川崎フロンターレでプレー。2024年9月、退団を発表した。フランス代表では12試合出場3得点。
著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
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