鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島が魅力的な攻防を展開 古豪同士の対決はなぜ人々の心を打つのか (2ページ目)
【鹿島はシステム変更や若いFWの活躍で引き分けに】
鹿島のランコ・ポポヴィッチ監督は、「準備してきた」というスリーバックに変更。いわゆるミラーゲームに持ち込んで広島のワイドからの攻撃を封じることに成功した(MFの三竿健斗がスリーバックの一角に入り、攻撃時には中盤に上がるという変則的なスリーバックだ)。
一方、広島側にとってもミラーゲームになったのは守りやすくなったようで、鹿島もほとんどチャンスを作ることができないまま時間が経過した。リードしている広島にとっては決定機が作れなくても問題はないが、追う立場の鹿島には次第に焦りが出てきたようで、本来ならトップに入ってターゲットとなっているはずのFW鈴木優磨がボールをもらいに中盤まで下がってきてしまう。
そんな膠着状態を変えたのが、74分に投入された鹿島の17歳のFW徳田誉だった。
典型的な9番タイプの徳田が前線に入ったことで、鈴木は2列目で幅広く動きながらボールを捌いて、鹿島には攻撃の形ができた。そして、82分、左サイドからのボールを鈴木がつないで、徳田が元日本代表のDF佐々木翔を背負ってボールを受け、反転してそのままシュートを決めて土壇場で鹿島が同点に追いついた。
徳田には、このあとも2度ほどシュートチャンスがあった。CFとしてずっと期待されていた徳田が、ついにその成長ぶりを大舞台で見せた。
広島は前半には攻撃力が光ったし、後半は守備の安定感を見せつけた。それに対して、鹿島はシステム変更や若いFWの活躍によってうまく引き分けに持ち込んだ。広島は90分を通して優勢に試合を進めていただけに、後半、より積極的に試合を決めにいくべきだったのかもしれない。
この引き分けによって、広島は再びFC町田ゼルビアに首位の座を渡してしまったもののチーム力の高さは見せつけた。そして、町田との直接対決(9月28日/エディオンピースウイング広島)も残しているのだから、優勝の可能性は大きい。
一方、鹿島も土壇場で追いついて得た貴重な勝ち点1によって、僅かながらも逆転優勝の可能性を残すことに成功した。
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