プロ野球観戦も経験した浦和レッズDFホイブラーテン 週2で日本語を学び寿司がお気に入り (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【ハーランドやウーデゴールとの思い出】

 そして最後に、ノルウェー人のホイブラーテンに訊きたかったことを尋ねた。以前に元ノルウェー代表のタリク(元湘南ベルマーレ)にも訊いたことだが、人口550万人ほどの北欧の国がアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)やマルティン・ウーデゴール(アーセナル)といった世界でもトップレベルのタレントを、輩出できている理由は何なのか、と。

「いい質問だね」とホイブラーテンは、このインタビューで何度か口を突いた言葉を繰り返した。

「正直に言って、その秘訣は僕にはわからないな。だってもしわかっていたら、僕自身が彼らと同じレベルになれていたはずでしょ(笑)。考えられるのは近年、ノルウェーの育成が現代的に発展していることや、ノルウェーのクラブが若手の起用に積極的なこと。でもそれ以外は、彼らの個人的な努力の賜物だと思うな。ホーラン(ハーランドのノルウェー語読み)とマルティンは年齢も近く(24歳と25歳)、どちらも父親が元プロだけど、おそらくそれは偶然だろう」

 浦和に来るまでは母国でキャリアを積み上げてきたホイブラーテンは、両選手と一緒にプレーしたことがあるという。

「ストロムスゴセットでプレーしていた時、そこには15歳のマルティンがいた。その年齢でファーストチームに上がってきたんだけど、当時からとてつもないレベルのスキルを持っていて、思いどおりにボールを操っていた。間違いなく、ビッグクラブや代表で活躍できると思ったよ。少し遠回りしたけど、今はそのとおりになっているよね。

 ホーランとは彼が(モルデに所属していた)19歳の時に、対戦したことがある。その頃からフィジカルは群を抜いていたけど、率直に言って、彼がここまでの存在になって驚いている。きっと、ザルツブルクで大きく成長したんだろうね」

 最近では、マンチェスター・シティの21歳のウイング、オスカー・ボブも台頭しているように、ノルウェーは引き続き好タレント生み出している。ホイブラーテンの8カ月になる息子の将来も楽しみだ。

「そうだね! 強要はしないけど、もしフットボールをしたいと言ってくれば、最高だよ」

 プロ選手を父に持つ次なるワールドクラスのノルウェー人は、日本に縁のある選手になるかもしれない。
(おわり)

マリウス・ホイブラーテン 
Marius Hoibraten/1995年1月23日生まれ。ノルウェー・オスロ出身。2011年、リールストロムで16歳でトップチームデビュー。ストレンメン、ストレームスゴトセト、サンデフィヨルド・フォトバルを経て、2020年からはボーデ/グリムトでプレー。国内リーグ2連覇に貢献した。U-17、U-19、U-21と年代別のノルウェー代表の経験がある。2023年より浦和レッズでプレー。2023シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。

著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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