Jリーグとプレミアリーグの試合内容に差がある理由 選手の技量の違い以上に深刻な問題 (3ページ目)
選手個々のレベルの問題もあるが、個々の技量は相手ボール時に行なうプレスとは関係がない。動けるか否か、走れるか否かだ。気象条件こそが最大の要因になる。
進歩や発展に貢献するサッカーと、しないサッカー。それが暑さという外的要因で決まっているわけだ。これを放置しては、競技力は衰退する。
2年後、Jリーグは秋春制に移行する。欧州とシーズンを合わせるため。アジアチャンピオンズリーグのスケジュールに対応するため。そして、それ以上に強調されたのが暑さ対策だった。ただ、欧州と同じ8月に始まり5月に終わるというスケジュールでは焼け石に水だろう。近い将来、10月開幕ぐらいにしないと、暑さ対策は機能しないかもしれない。
抜本的な対策は競技施設、スタジアムの改善だ。ドームスタジアムをいくつ作れるかがカギになる。さしずめ、近い将来民営化される国立競技場は、その一番の対象になる。あるいは2022年W杯の舞台となったカタールのスタジアムのように、空調完備のスタジアムにするか。
このまま放置すれば、日本のサッカーは衰退する。他の競技にも同じことは言えるだろうが、競技力に大きな影響が出るのは、プレッシングを生命線にするサッカーだろう。限界点に迫りつつある暑さとどう向き合うか。ダウンテンポの緩い試合を見すごせば、レベルダウンは必至。看過できない大問題になってきた。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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