Jリーグとプレミアリーグの試合内容に差がある理由 選手の技量の違い以上に深刻な問題 (2ページ目)
【プレミアのレベルが高い理由はここにも】
蘇ったのは15年ほど前、8月のプレミアリーグ開幕に合わせてリバプールを訪れた時、あまりの寒さにホテルで暖房のスイッチを入れた記憶だ。夏は暑くなければいけないと勝手に決め込んでいた筆者にとって、それはリバプールのネガティブな思い出となった。担当編集者に当時、泣きのメールを入れた記憶も残る。
そのイメージはすっかり一転した。かつては世界各国の選手にとって、スペインリーグこそが人気ナンバーワンの地だった。外国人選手に話を聞けば、イングランド、ドイツと同じ年俸ならスペインのほうが絶対にいいと、多くが答えたものだ。「半分なら考えるけど、3分の2なら喜んで行く」「気候がよくて食事もおいしいことが一番の理由」と。
当時の携帯電話会社のCMにもそれは表われていた。レアル・マドリードでプレーするデビッド・ベッカムに、ガリー&フィルのネビル兄弟がイングランドから電話するという話で、凍えそうにしているネビル兄弟が、リゾート気分を満喫するベッカムに羨ましそうに喋りかけるという、かなり笑える内容だった。
ネビル兄弟のみならず、イングランド人にとってスペインは憧れの地だった。チャンピオンズリーグに出場する各チームのサポーターは、抽選の結果、グループステージで戦う相手がバルセロナやバレンシアに決まると、旅の手配を直ちに整えたものだ。プレミアがスペインを抑えてUEFAランク1位の現在もその傾向はあると思われるが、もし観戦者が純粋にハイレベルなサッカーを堪能しようとする場合は、プレミアになるだろう。
ブライトン対マンチェスター・ユナイテッドは、サッカーのレベルも高かった。比較してはいけないのかもしれないが、Jリーグの6位対7位の対戦とは別の競技ではないかと疑いたくなるほど内容に著しい差があった。
昨季プレミアの8位対11位の試合は、開始直後からプレス合戦だった。高い位置からバチバチとやり合う攻撃的守備の応酬で、自軍にサッと引くC大阪のサッカーとは真逆だった。お互い綻びのないまま進行する展開は、時間の経過を忘れるほど緊張感に富んでいた。
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