「中田英寿も本田圭佑も強かった」清水エスパルス・秋葉忠宏監督が目指す超攻撃的なサッカーに不可欠なもの (2ページ目)
――指導のなかで選手の成長を感じたいのですね。
「選手の成長が指導者にとっては一番うれしいことじゃないですか。チームのなかで選手が成長するには、技術、体力はもちろん、考えることが重要になってきます。
五輪とか、W杯の大舞台の試合になると、監督の声とか聞こえないと思うんですよ。昨年のヴェルディとのプレーオフですら1m先も聞こえなかったですからね。そういう時、自分で判断し、行動に移せることが大事になってきますし、そういうなかで選手はより成長していくと思うんです。
そんな(自分で考えてプレーできる)選手が11人はもちろんのこと、23人揃えばW杯でベスト8の壁を突き破っていけると思います」
――監督がプレーで要求する、指示することはどんなことですか。
「ゴールに向かっていかないとか、ボールを奪いにいかないとか、そういうサッカーをするつもりがないので、アグレッシブさは求めています。あと、守備ですね。ボールを奪う守備とゴールを守る守備があるのですが、その使い分けはハッキリと示します。
僕は前向きなミスをしても何も言わないですし、いくらしてもいいんです。でも、後ろを向いて(ボールを)取られるとか、横パスで引っかかるとか、仕掛けないとか、消極的なミスや姿勢は嫌いだし、そういうプレーは次に繋がらないんですよ」
秋葉監督は、選手を型にハメることはせず、前向きのミスにも寛大だ。戦術面について選手の声を反映することはあるのだろうか。
――選手から戦術的な意見が出ることについて、どう考えていますか。
「それはすごく重要なことだと思っています。若い選手が持つ柔軟なアイデアは面白いですし、それを聞くことで僕自身の幅も広がります。ただ、それをどこまでやれるのか。そこについては、僕が判断させてもらいます。
あと、僕はディエゴ・シメオネ監督(アトレティコ・マドリード)と同じで、フィジカルについては手の要望はほとんど聞きませんし、妥協も一切しません。フィジカルの項目で何かひとつでも足りない部分があると、ゲームに出すことはないですね。自分が目指す超攻撃的なサッカーを実現するには、フィジカルのベースがあってこそだと考えているので」
――フィジカルの弱さを技術で補うのも認めないのでしょうか。
「技術とフィジカルがあって一人前の選手、どちらかが欠けていると半人前なんですよ。日本人はフィジカルが弱いってよく言われますけど、それを諦めてしまったら終わりなんです。
ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズ監督もフィジカルベースを上げて南アフリカに勝ちましたし(2015年ラグビーW杯)、大谷翔平選手もフィジカルを鍛え上げて世界トップレベルでプレーしているわけじゃないですか。中田ヒデや本田(圭佑)、岡崎(慎司)もフィジカルが強かったですし、やれば強くなるんです。フィジカルと技術の両方をきちんと求めていかないと世界では勝てないんですよ」
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