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ガンバひと筋だった藤春廣輝がJ3のFC琉球へ「とにかくサッカーをしたい。カテゴリーはまったく気にならなかった」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 ガンバ時代は毎年のように、シーズン前のキャンプで足を運んでいた沖縄だったとはいえ、練習場と宿泊ホテルの往復で「沖縄に行ったというより、キャンプに行ったという感覚」だったからだろう。土地勘がまったくない場所では携帯電話だけが頼りだった。

「家から練習拠点となる八重瀬町スポーツ観光交流施設までの行き方さえ覚えておいたら大丈夫だと思っていたら、始動してしばらくは沖縄にキャンプに来るJ1チームがその場所を利用するからと、僕らはいろんな場所を転々としながら練習していたんです。それが最初に感じたJ1とJ3チームとの差でした。

 しかもチームバスが出るわけでもなかったので、場所によっては自力で1時間半くらい運転して移動しなくちゃいけない日もあり......。その時期は、土地勘がないことへの不安から毎朝5時半とか6時に起きて家を出ていました。携帯電話の地図アプリだけが頼りだったから、電池の残量が20%以下になると焦る、焦る! その頃は常に充電のことばかり気にしていました(笑)」

 そんなふうに生活への適応にはやや時間を要したとはいえ、チームにはあっという間に溶け込んだ。環境の変化こそあれ、自分自身のサッカーへの向き合い方に大きな変化はなく、新たな仲間と新鮮な毎日を過ごしているという。

「ガンバ時代もいろんな経験をさせてもらってすごく楽しい時間を過ごせたけど、琉球ではまた違うステージで、種類の違う楽しさを感じているというか。新しい経験もたくさんできて充実感もあるし、本当にここに来てよかったと思っています」

(つづく)◆藤春廣輝の気づきとマインドの変化>>

藤春廣輝(ふじはる・ひろき)
1988年11月28日生まれ。大阪府出身。大阪体育大卒業後、2011年にガンバ大阪入り。プロ1年目のシーズン終盤にはレギュラーの座を確保。以来、ガンバひと筋、スピードと精度の高いクロスを武器とした左サイドバックとして活躍した。2014シーズンにはJ1復帰初年度でのリーグ、カップ、天皇杯の三冠獲得に貢献。2015年には日本代表にも招集され、翌2016年にはオーバーエイジ枠でリオデジャネイロ五輪に出場した。2023年、契約満了によりガンバを退団。J3のFC琉球へ完全移籍。2024シーズンから同クラブで奮闘している。

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