オッツェは若き日本人を次々と見つける敏腕スカウト 獲得したかったのは「インテリジェンスのある遠藤航」 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【佐藤恵允がブレーメンで得られるメリット】

 一方、今季開幕前の昨年7月にブレーメンの一員となった佐藤に関しても、獲得のきっかけはU-21世代のスペイン遠征だった。

 だが、獲得時と状況が変わったことがある。ブレーメンのセカンドチームが4部から5部に降格したことで、佐藤を育成するプランにも修正が必要となったという。ただ、幸いにも来季は4部昇格がほぼ決まっているので、状況が好転する可能性は高い。

新たな日本人選手の獲得に精力的なオッツェ photo by Minegishi Shinji新たな日本人選手の獲得に精力的なオッツェ photo by Minegishi Shinjiこの記事に関連する写真を見る「これまでもトップで練習をすることはありましたけれど、すべてはこれから。来季は勝負のシーズンになるはずです」

 期待を込めてそう話した。

 昨今の傾向として、Jリーグのクラブに入団せずにいきなりドイツなどの欧州のクラブに加入し、その組織の育成チームからスタートをきるケースが増えている。長田も佐藤も加入した年齢は違えども、Jクラブを経ていないという点では同じだ。

「FIFAのルールで、欧州のセカンドチームに加入できる国の選手は限られています。もちろん欧州内の選手であれば問題ありませんが、欧州以外の国だと加入に制限があります。

 たとえばアフリカ人選手ならば、イタリアやスペインのパスポートを持っていればOKだけど、持っていなければセカンドチームには加入できない。だから、アフリカ人選手がドイツのクラブに入ろうと思ったら、トップチームと契約するしか選択肢がないんです。

 しかし、日本人選手はセカンドチームから始めることができる。これは我々にとってもアドバンテージです。たとえば佐藤の場合だと、基本的にはセカンドチームで練習も試合もして、時にはトップチームに参加することも可能になる」

 その一方、海外クラブのスカウトが育成世代の日本人選手のプレー映像を見る機会は少ないという。

「Jリーグだと18歳の選手はほとんどプレーしてないですよね。だから、映像をチェックしてドイツに連れてくることが難しい。また、日本の育成年代のプレー映像は、スカウトが国際的によく使うシステムに入っていないので、基本的には見られないんです。そういう状況も、我々が日本の育成年代の選手を獲得しづらい理由のひとつです」

 現状では、代理人や元チームメイトの情報などに頼るしかないという。日本の育成年代の獲得において能動的に動くことは、今はなかなか難しいそうだ。

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