Jリーグ序盤戦を中村憲剛&佐藤寿人が斬る「ヴェルディを見ているとフロンターレが昇格した時のことを思い出す」 (3ページ目)
広島は安定してピッチに立てるフィニッシャーがいないなかで、湘南から大橋(祐紀)を獲った。彼はすぐに結果を出しましたし、前線が安定してきたことはかなり大きいですね。セレッソも田中(駿汰)の存在が際立っていますし、登里(享平)が入ったことでビルドアップがスムーズになった。そこはセレッソに足りていなかったところなので、いい補強をしたと思います。
憲剛 広島は去年から攻撃のデータが軒並みよかったんですよ。足りなかったのはゴールの決定値だけで。
寿人 そうなんですよ。それだけでしたね。
憲剛 だから、そこに大橋を獲ってきた。文脈が明確ですよね。その大橋がすぐに結果を出しているのが大きいし、加藤(陸次樹)もいて、マルコス・ジュニオールもいるので、前線のタレントは揃っていますよね。あとは、うしろの選手たちがどこまでがんばれるか。
寿人 鉄板の3枚がケガなくやれるかどうか、ですね。
憲剛 今の広島のサッカーを支えているのは、佐々木(翔)、塩谷(司)、荒木(隼人)だと思います。特に中央の荒木ですね。ひとり余るのではなく、彼が1対1を制して守れるので、周りの選手たちがあれだけ高い位置から行くことができる。
寿人 フロンターレが無双していた時の谷口(彰悟)とジェジエウの存在に近いかもしれないですね。個の力で守れてしまうので、前に人数をかけられる。だから、うしろの3人がいなくなった時にどこまで今のサッカーができるかは、ちょっと心配ではあるんですけど。
── 一方で、憲剛さんのフロンターレは苦しいスタートとなっています。
憲剛 思ったような序盤戦でないことは間違いないと思います。
寿人 大変なんですか?
憲剛 スタッフも選手もかなり入れ替わったので、大変だと思う。ただ言えるのは、そもそもこれまでもそうであったように、新しい選手が馴染むのに時間がかかるチームであることは間違いないということ。
今年はいろんな意味でピッチ内外を支えていた選手たちが複数人いなくなり、そこに若くて力のある選手たちが入ってきたけど、じゃあすぐに額面どおりの力が出せるかと言えば、そんな簡単にはいかない。
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