なぜFC町田ゼルビアはJ1でも快進撃ができているのか 中途半端なチームは今後軒並み食われる可能性 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【守備はより強固に イレギュラーにも慌てない】

 2連勝で勝ち点7を積み上げた町田の強さを支えるのは、強固な守備である。ここまで失点はG大阪戦の宇佐美のFKのみで、流れのなかから失点はしていない。その要因を黒田監督はこう説明する。

「前のプレスで制限できていることもひとつ。それからクロスの本数を減らせていること、またはクロスの守備でフリーにさせないこと、背中に潜り込まれないこと。ここをかなり細かく調整している。だから変にフリーの状態でシュートを打たれる局面もなかなかない。キャンプからしっかりと積み上げてきたこと、去年から思考してきたことを彼らの高いレベルのなかで順応し、実践してくれている成果だと思う」

 昨季はクロスを上げられても跳ね返す強さがあったが、今季はそこもありながらサイドへ追い込んだ時に素早く距離を詰めてクロスのコースを制限。そもそも有効なボールがゴール前にほとんど入っていない。

 鹿島戦ではFW鈴木優磨が町田の空ける中盤のスペースへ下りて起点を作られた。側から見れば嫌なプレーに映るが、柴戸海は「気にしていなかった」という。

「中盤で数的優位を取られてそこにボールが入ってしまうこともあるけど、前線からひとり下がることで相手は後ろに人数を割いているので、しっかりと戻りさえすれば相手の攻撃を断てると思っていた」

 少しくらいイレギュラーなことをされても、チームでやるべきこと、優先順位がはっきりとしているので、町田の選手たちが慌てることはない。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る