なぜFC町田ゼルビアはJ1でも快進撃ができているのか 中途半端なチームは今後軒並み食われる可能性

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

J1でもFC町田ゼルビアの快進撃が見えてきた。開幕3戦を詳細に見ても、昨年J2で見せた、強固な守備の再現性の高いサッカーはJ1でも猛威を振るいそう。まだチームを構築段階などというところは、今後軒並み食われていきそうな感じだ。

【狙いどおりに結果を出している】

 J1でもFC町田ゼルビアの快進撃が始まった。開幕から3試合を終えて勝ち点7を積み上げ、柏レイソルと並んで2位につけている。

FC町田ゼルビアが快進撃。鹿島アントラーズ戦でも狙いどおりの戦いでゴールを奪い、勝利をつかんだ photo by Getty ImagesFC町田ゼルビアが快進撃。鹿島アントラーズ戦でも狙いどおりの戦いでゴールを奪い、勝利をつかんだ photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 昨季、黒田剛監督を招聘し、新体制となった町田はクラブ初のJ2優勝・J1昇格と旋風を巻き起こした。高校サッカーの監督がプロでは通用しないという、懐疑的な周囲の声を結果で黙らせた。

 今季においても「J1はそんなに甘くない」と、町田のサッカーを疑う声は少なくない。そんななかで2勝1分のスタートダッシュだ。町田は間違いなくJ1で通用しているし、この結果は決してフロックではない。

 なぜならば、昨季と同じスタイルを精度、強度ともに高く徹底し、再現性の高い試合内容で、狙いどおりに結果を出しているからだ。しかも、開幕戦の先発は半数以上が新加入選手である。

 町田はチームとしての狙いや優先順位、選手個々に課せられた役割が明確だ。それを緻密かつ徹底させることができるコーチングスタッフが揃っているため、キャンプのトレーニングを終えた頃には非常に練度の高いチームに仕上がった。

 この2勝1分は接戦を死に物狂いで拾ったのではなく、やるべきことを高い基準で遂行し、確実に掴み取ったのだ。どの試合も内容はスコア以上に相手を圧倒したものだった。

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プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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