ベガルタ仙台13年目の3・11 「これで燃えなかったらサッカー選手じゃない」想いを胸にJ1昇格へ (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【震災当時の映像を見て気持ちがたかぶった】

「最後のほうは向こうも長いボールを含めて放り込んでくるということで、こちらも大きい選手をふたり入れて、殴るなら殴ってこいぐらいで、ゴール前にへばりついて守っていたような感じですけど、集中して身体を張って、最後の際のところで守れていた。ルヴァンカップも含めるとここまで3試合で喫した5失点すべてが後半の34分以降で、しかもすべてクロスからの失点でした。かなり振り返りもやって、映像上では確認をして臨んだので、そのへんのところも集中してできたのかなと思います」

 Jリーグで初めて采配をふるう56歳の指揮官は、シーズン初のクリーンシートを評価した。続けてホーム開幕戦の「熱」を勝因にあげた。

「バスで競技場へ入ってくる時に、とてつもない数のサポーターの方に、ものすごい声援で出迎えていただいて、こちらも胸が熱くなって。選手には、これで燃えなかったらサッカー選手じゃないよな、と話しました。

 宮城に、仙台に必要とされ、応援してもらえるクラブになるのが今年の一番の目標なので、サポーターのみなさんに喜んで帰ってもらえるために、全員が死力を尽くしたかなと」

 熊本県に生まれ、広島でキャリアを積んだ森山監督も、「3.11」を胸に刻んでいた。

「被災したクラブを代表して、3月11日の前日にホームゲームを戦う思いも確認して、2011年の震災後のベガルタのリーグ再開初戦、川崎フロンターレ戦の逆転勝利の映像を選手たちに見せて......。

 サポーターのみなさんの思いとか、選手たちの眼に見えない力を動かすとか、そういうところもベガルタのよさというか、それを出していきたいというところでは、少しは見せることができて、サポーターの方々にもちょっとは元気を与えることができたのかなあ、と思います」

 決勝点をあげた相良は、佐賀県出身である。サガン鳥栖の育成組織を経てプロになった彼も、震災当時の映像に心を震わせた。

「試合前のミーティングで震災の動画というか、そういうのを監督から見せてもらって、気持ちがたかぶりました。いろいろな人たちに感動を与えたいと思って試合に臨みました。それが結果につながってよかったです」

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