ガンバ大阪・宇佐美貴史「そりゃそうなるよね」昨季最終戦で浴びた強烈なブーイング 今季求めるのは「流れを変えられるアドリブ力」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 宇佐美が、今年のチームが備えなければいけない力だと強調するのは"アドリブ力"。それを各々が試合のなかで、勇気を持って表現できるチームになりたいと言葉を続ける。

「昨年は、自分たちの策が読まれたり、相手選手がひとりでも機転を効かせてポジションを変えてきたら、すぐに手詰まりになって、自分たちの流れを失ってしまうということが多かった。これは、ダニのサッカーをまだまだものにできていなかったからでもあったというか。

 理想的なビルドアップをして、ゴール前までスムーズにボールが運べている時は追い風が吹くけど、少しボールが回らなくなっただけで、『うまくいってない』とか『ハメられてしまっている』という感覚になりすぎて、ものすごい逆風が吹いているような錯覚に陥って自滅していくことも多かった。そういう時に、自分たちで流れを変えられる"アドリブ力"は圧倒的に足りていない部分だったので。

 監督が策を変えるのを待つばかりではなく、ピッチに立っている選手が流れを感じて、それぞれの責任で『うまくいっていない=そのままやっていてもダメだ』と理解して、チームに変化を与えられるようにならなければいけない。そうやって、誰かが咄嗟にアドリブで与えてくれた変化を全員が感じて、自分の動きを変えることも必要ですしね。ダニのサッカーを結果につなげるためにはなおさら、そういう意識が大事になると思っています」

 また、クラブが設定した今シーズンの目標「J1リーグ7位以上」についても、長きにわたってこのチームに在籍してきた宇佐美だからこそ、あえて厳しい言葉で現実に目を向けた。

「タイトルを獲って当たり前のクラブと言われた姿は、悔しいですけど、今のガンバにはない。残留争いに巻き込まれている近年の成績を見ても、軽々しくタイトルを口にすべきではないと思う。もちろんこれは、だから上を目指さないということでは決してないですが、自分らが置かれている現状に目を背けず、謙虚にサッカーと向き合って、1試合、1試合戦っていくことなしに結果は得られない。

 僕らは去年の成績で言うところの16位から始まるチーム。その現実をしっかり受け止めて、新シーズンに臨むべきやし、逆に弱者として、怖いものなしで強者に立ち向かっていけばいいと思っています」

 自身のコンディションはいい。シーズンオフはもちろん、始動後も毎日、自主トレと向き合いながら体を作り上げてきたなかで、例年以上に体の軽さも感じているという。

「シーズン前に3kg落としていた体重から、今はさらに1kg落ちて、去年からトータル4kg絞ったんですけど、その体とボールとのフィーリングもいいし、気持ちよく走れてる感もすごくあります。といっても、開幕前最後の練習試合ではシュートを6~7本、外しまくったんですけど(苦笑)。

 ただ、プレシーズンは悪いところがたくさん出たほうがいいと思っているし、それだけ打てていること自体はすごくポジティブなので。今の自分が公式戦のなかでどんなパフォーマンスができるかを楽しみに思えている時点で、すごくいいなと思ってます」

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