湘南ベルマーレは残留争いクラスから脱却できるか 山口智監督が今季目指す「全員が同じ絵を描く」スタイル (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【全員が同じ絵を描く】

――攻撃の課題は昨季に限らず、湘南として昔から解決できずにいるものだと会見などでおっしゃっていました。それを改善するのは長い期間が必要ということもおっしゃっていましたが、その課題に対してはどのように取り組んでいこうと考えていますか?

 個人の成長やスペシャルな部分を発揮するところはマストとしてあるんですが、選手同士の関係性のなかで生み出していくことも必要です。点を取るのは簡単なことではないんですけど、点を取るところまでいくのは可能で、どうやってそこへ進入していくかという共通認識、全員が同じ絵を描けた時にクオリティは倍増すると思います。

 それはなぜかというと、そこまでいくと相手を動かせて、それによって余裕を生み出せるからなんです。そういう考え方、回数を増やしていくことが大事です。

――その共通の絵を描くための取り組みというのは?

 シチュエーションとか、コンビネーションを落とし込む方法もやっていますし、個人のスキルアップのトレーニングにも取り組んでいます。ただ、選手たちの技術が足りないというより、そこへの意識が足りない。これまでは意識があってもひとりや数人だけだったと思います。それをチームとして、矛先を一点に集中させる必要がありますね。

 よく"攻"と"守"は分けられがちですけど、攻撃している時から守備は始まっているし、守備をしている時には攻撃の一歩は始まっているわけです。そこで優位性が出るような攻撃の仕方、守備の仕方に我々は取り組んでいて、昨季は決定的なところにつなげられた部分もあるんです。

 だから我慢しながら同じことを繰り返して、成功体験、結果につながっていけばおのずと自信がついていく。やっていることへの手応えも、もっと出てくると思います。

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