加地亮のJ1順位予想&全チームレビュー「上位の力は安定している」とみるなかで唯一「かき回しそうな存在」とは? (3ページ目)

  • 篠幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【主力が抜けたのが気になるクラブがある】

 9位の名古屋グランパスは後方の主力をごっそりと抜かれた。これだけの主軸を抜かれると守備ラインの再構築には苦労するだろうし、補強もややスケールダウンは否めない。

 昨季、FWマテウスが移籍で抜けて迫力を欠いた前線にFW山岸祐也やFWパトリックを補強したが、攻守において戦力ダウンを感じる。

 10位はガンバ大阪。キャンプを見に行ったがビルドアップの部分はまだ合わせている段階で、シーズン序盤は前からプレスにくるチームには苦戦を強いられるかもしれない。ただ、昨季失点の多かった守備ラインにはDF中谷進之介やDF松田陸ら経験のある選手を補強できたことで、ディフェンス面は締まるだろう。

 11位のアルビレックス新潟はMF三戸舜介の移籍による穴がかなり大きいのではと感じている。ただ、昨季途中にMF伊藤涼太郎が移籍した際にもスタイルは変わらず、ハードワークできるチームだったので、三戸が抜けた穴を感じたとしてもある程度やれるチームは維持できるはず。

 12位のアビスパ福岡は昨季躍進したものの、今季FW山岸祐也とFWルキアンの2トップが抜けたのはかなり痛手だ。攻撃の部分はもちろん、守備においてもふたりの貢献度は高く、新しく入ったFWナッシム・ベン・カリファ、FW岩崎悠人がどれだけ担えるか。とくに山岸は2季連続で10得点を決めていたので、その穴をベン・カリファが埋められるかにかかっているだろう。

 13位のFC町田ゼルビアは初のJ1に向けて大型補強がなされて、キャンプでも前に速く、強いと聞いていて、黒田剛監督が求める速くてパワーのあるサッカーを1シーズン貫ける陣容が揃っている。新加入の選手たちがクオリティを加えられれば面白い存在になるはず。

 ただ、やはりJ1での経験値がチーム全体として少ないので、序盤でつまずけばそのまま残留争いになる可能性もあるだろう。そこも含めて黒田監督のマネジメント力には注目したい。

 14位の柏レイソルは、今季も引き続き苦戦を強いられるのではと予想。昨季途中から加入したDF犬飼智也を完全移籍で獲得できたことは大きいが、MF山田康太やMF椎橋慧也、MF仙頭啓矢らを引き抜かれたのは、戦力としてかなり痛い。

 ハードに守れるかもしれないが、パサーがいないので攻撃が単調になる恐れがある。FW細谷真大、MFマテウス・サヴィオ頼みでは、年間通しては厳しくなってくるだろう。

 15位の湘南ベルマーレはFW大橋祐紀を引き抜かれたが、代わりに入ったFWルキアンは湘南にマッチすると感じるし、同じく新加入のMF鈴木雄斗とのホットラインも楽しみだ。ただ、ルキアンはまだJ1で2ケタ得点を決めたことがない。昨季13点の大橋の穴を埋めきれるかは未知数で、ずっと抱えている得点力という課題を克服できるか。

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