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V・ファーレン長崎はFIFAに提訴 監督の「二重契約問題」にブラジル人記者が迫る (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【サントス側の言い分】

 FIFAに訴えられるとさすがに他人事では済まなくなったが「それ(FIFAに提訴すること)は日本のクラブの権利であり、我々は成り行きを見守る。我々が気にかけるのは司法的な面での問題だけであり、これによって監督の状況が変わるわけではない。今後も彼は通常どおり監督を続ける。罰金に関しても、我々は一切恐れてはいない」と、強気の姿勢を崩していない。

 サントスが落ち着いているのには理由がある。長崎は11月に契約更新の意思を確認し、その後、契約は自動更新されたと主張するが、サントスの見解はちょっと違う。

 彼らは、日本の契約期間は税制の問題から12カ月ではなく11カ月であり、そのため長崎とカリーレの契約はいったん12月31日で終了しており、次の契約は2月1日より始まる、つまり1月1日から31日までは契約は解除されており、彼らはその「空白の1カ月」を利用して、カリーレを獲得したというのだ。実際、カリーレがサントスと正式にサインしたのは1月に入ってから。決してクリーンなやり方ではないが、もしこれが本当ならば少なくとも二重契約ではない。

 ただし、これについては「ちょっと待て」と言いたい。サントスがカリーレを獲得すると発表したのは12月の19日であり、20日には就任発表の記者会見を開いている。この時、カリーレはまだ長崎の監督だったはずだ。これは明らかなルール違反だ。

 この1月からサントスの新会長となったマルセロ・テイシェイラは、「問題解決に向けて案を出したが、残念ながら日本側は我々とは異なるビジョンを持ち続けている」と述べた後、口をつぐんだ。サントスはもうこれ以上、この件についての話はしないと言っているようだ。

 だがもし長崎の主張が認められれば、FIFAはサントスに罰金(長崎が求めているのは150万ドル/約2億2000万円)を課すことになる。そして罰金の支払いを確実にするために、FIFAはチームにトランスファー・バン(獲得禁止)を課すことができる。これは1年で1部に戻りたいサントスにとってはかなり手痛い処分だ。

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