柏木陽介が振り返るサッカー人生「後悔はない。ただ、満足したことも一回もなかった」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki

――今後は、どういう形で岐阜と関わっていこうと考えているのですか。

「まだ何も決まっていないので、具体的なことを話すのは難しい。でも、クラブの中にいて、ここをこうしなきゃいけないなって思う部分はたくさんあります。

 たとえば、静岡県にはJクラブがたくさんあるけど、岐阜県にはサッカーのプロチームはFC岐阜しかない。一番いいポジションにいるわけだし、FC岐阜の選手たちがどれくらい地域に貢献しつつ、自分たちを知ってもらってファンを増やしていくか。そこが、すごく重要だと思っています。

 今でもサポーターは十分多いけど、たぶんもっと選手たちが何かやることでもっと盛り上がっていくはずだし、チームも、選手も、知ってもらうことがまた自分たちの"頑張れる"につながっていく。そういう循環を生み出すことを、まだ上手にできていないんじゃないかなと思っていて......」

――現役の選手たちにももっとやれることがある、と。

「たとえば、パートナーさんとクラブとのつながりも、(クラブの)営業さんが話をするだけじゃなくて、シーズンが終わった時に選手が直接会って、『今年もありがとうございました。またお願いします』と思いを伝えることがすごく重要だなと僕は感じています。今まで僕はそれを個人的にやらせてもらって、実際にFC岐阜を応援してくれる人がどんどん増えてきたなと感じるし、(現役の)選手たちがどんどん盛り上げていかないといけないなと思っています」

――そこに歯がゆさを感じる。

「歯がゆいですね。(クラブの)外だけじゃなくて、クラブの中でも、すべてのつながりをもっとうまく循環させていけたらいいのになと感じることは多いですね。

 大きなクラブはそこまでなかなか手が回らないのかもしれないけど、これから発展していくクラブにとっては、そこがすごく必要なことかなと思っていて。もっと現場と会社と地域と、その交流の循環を作っていけたら、もっともっとよくなると思います」

――たとえば、どんなことができるでしょうか。

「選手は午前中に練習したら、午後はフリーの時も多い。だったら、選手が小学校を1カ月に10校回って子どもたちと交流すれば、1年で120校回れる。それで選手を知ってもらって、サッカーを見てみたいと思う子どもが増えれば、お父さんやお母さんが、それなら連れて行ってあげようかってことになるかもしれない。

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