「強く印象に残っている」Jリーガー5人をレフェリー視点で佐藤隆治が厳選「審判員泣かせ」「え、そこに出すの」「拍手したいくらいのFK」 (3ページ目)
直接FKの場面では、壁にボールが当たった際にハンドがあったかどうかを見落とさないように、キッカーの斜めうしろに立ちます。結果的に、ボールの軌道を最高のポジションで追いかけることになります。
Jリーグ30周年のFK部門でベストゴールに選ばれた、2016年4月のガンバ大阪対横浜F・マリノス戦でも、僕が主審を務めていました。この場面では中村俊輔さんの左後方から壁をチェックしていたのですが、曲がりながら落ちていくボールの軌道が点線で描かれていくようにはっきりと見えました。その場で拍手していいのならしたいぐらい、すばらしいFKでした。
F・マリノスとガンバの試合では、2015年7月の対戦で中村俊輔さんが決めた直接FKも、目の前で見ています。90+4分のアディショナルタイムに決めたこのゴールも、壁を越えていく軌道をはっきりと見ることができました。
【4】アンドレス・イニエスタ(MF)
<バルセロナ→ヴィッセル神戸→エミレーツ・クラブ>
イニエスタ選手のすごさも、いろいろな場面で聞かれました。
予測を裏切ってくる怖さは、率直に言って感じることがなかったです。それは、意外性がなかったという意味ではありません。彼が出場したヴィッセル神戸の試合は、必ずと言っていいほどイニエスタ選手を経由した攻撃になるので、レフェリーからすると予測がしやすかったということです。
私がとにかくすごいなと感じたのは、止める、蹴る、の基本技術ですね。
選手がトラップミスをしたら、次のプレーがわずかでも遅くなります。ミスといってもボールが大きく弾んだりするものではなく、ちょっとボールが流れてパスを出すタイミングがワンテンポ遅れたとか、パスを出したい方向へ出せなくなったとか、それぐらいの範囲のミスです。
こちらがミスを望んでいるわけでありませんが、ミスが生まれると助かるのは事実です。考える時間、一歩でも動ける時間をもらえることになります。
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