J1昇格の残り1枠を勝ち取るのは? 東京V、清水、山形、千葉4チームの強みとカギになる選手 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko

【山形はシーズン終盤の勢いを生かせるか】

 山形は最終節でプレーオフ圏内を争うヴァンフォーレ甲府を相手に、アディショナルタイムの逆転弾による劇的勝利によって千葉、甲府をかわして5位となった。

 山形も清水同様に序盤戦で大いに苦しんだ。開幕2連勝を飾ったものの、その後に5連敗。ピーター・クラモフスキーが早々に監督解任となり、渡邉晋がコーチから監督に昇格したのは清水と同じ流れだ。渡邉監督が就任後も3連敗を喫し、クラブワーストの8連敗と不名誉な記録を作ってしまった。

 一時は21位まで順位を落とすも第16節から5連勝を達成するとじわじわと順位を上げ、ラスト5試合で今季3度目の5連勝でプレーオフ圏内を勝ち取った。浮き沈みの激しいシーズンだったことは、21勝4分17敗という戦績を見てもよく窺える。

 山形の武器はMFイサカ・ゼイン、MFチアゴ・アウベス、FW宮城天ら、両ウイングの攻撃力だ。

 13得点でチーム内得点王のチアゴ・アウベスは突破力と決定力に優れ、宮城は持ち前のテクニックによってサイドで起点になれる。右ウイングのイサカ・ゼインの大胆でスピードあるドリブルは攻撃を勢いづかせる。

 第34節のアウェーの清水戦では、チアゴ・サンタナの個の力やミスを突かれて前半で3点を奪われて敗戦している。この準決勝では清水の圧倒的な攻撃をどうしのぎ、前線のタレントにどう繋げるか。知略家・渡邉監督の采配が試される。

 自動昇格を取り逃した清水と比べ、最終節の逆転でプレーオフ圏内に滑り込んだ山形には一発勝負でメンタル的に追い風となる勢いがあり、5位からの下剋上でJ1昇格を手にする可能性は十分にある。

 6年ぶりに開催されるJ1昇格プレーオフでどんなドラマが生まれ、最後のひと枠を勝ち取るのはどのクラブなのか。

プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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