サッカーの本質をサガン鳥栖監督が語る「こんなサッカーならやめたほうがいいと思った」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Matsuoka Kenzaburo/AFLO

【6位を目標にすると選手に伝えた】

 そのロジックを考えた時、こうやって話せるんだったらイコール、教えられるなと。昔はそうしたものを"感覚"と片付けていました。でも感覚を言語化していくと、僕はいけるんじゃないか、と思うんです。立ち位置だったり、ボール認知だったり、左右両足を蹴れる反復練習でどうにかなる。そこを捨てずにやりたいな、と。定説を覆したいんです」

――夏の中断前のヴィッセル神戸戦を前に、(過去9年でクラブ最高の)6位以内を目標にすることを選手に伝えたそうですね。川井監督がそうした目標値設定をするのは意外でした。

「僕自身、人生目標を立てたことがないんです(笑)。だから、そういうものを提示した時にどうなるかわからなくて、これは実験ですね。彼らならいけるはずですが、目指すべきところを明確にし、モチベーションがどう変化していくのか、ちょっと知りたくなったんです。僕は目の前の試合をやるだけというタイプですけど、今までと違うことも味わってみたい。達成できなかったとしても、しっかり分析し、来季も(チームに)いるなら反映させればいいと思っています。変化を怖がらずにやっていきたいですね」

――12月の最終節は、ぐっすりと眠れそうですか?

「最後は川崎(フロンターレ)戦ですが、きっと、ぐっすり眠れますよ。目標は6位以内ですが、結局は1試合1試合が実験です。8月の暑さから気候変化などいろいろあるわけで、そこで戦い方をブラッシュアップしながら知識として入れ、知恵として返す。気づけば終わっているはずです。

 残りをどう過ごすか、結局はあまり変わらない。だったら、なんのための目標かと言えば、次のためですね。次にもっといいフットボールするため、僕らは試合をしていくんです。もちろん目の前の試合に勝たないといけないんですが、未来の試合も勝ち続けたい。だからこそ実験を繰り返し、誰も見つけてない方程式を見つけ、来季、全部の試合に勝てるのだったら、そのほうがうれしい。

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