大混戦のJリーグ優勝争い 頂点を狙う7チームの強みと課題を水沼貴史が解説 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【強度の高い鹿島が戻ってきている】

 鹿島がここに来て非常に調子がよく、チームのクオリティが上がっている。鈴木優磨、垣田裕暉の2トップにボールが収まった時の2列目のサポートがとにかく素早く、それが攻撃の迫力につながっている。

 今は後方からのビルドアップの質を上げている段階。植田直通と関川郁万は決してそれが得意なタイプではないけれど、できるようになれば相手は前からプレスをかけざるを得ない。そうなると、そこをひっくり返す鈴木・垣田へのロングボールがより活きてくることになる。むしろそこをより活かすためにビルドアップの向上に取り組んでいるのかもしれない。

 さらにセットプレーの脅威は、今のJリーグでは一番だろう。鈴木、植田、関川がエリア内に並んだ時の迫力は凄まじく、そこに樋口雄太の高いキック精度がある。第22節の北海道コンサドーレ札幌戦で、相手2人に体を当てられながらも豪快に決めた植田のゴールは強烈だった。冒頭でも述べたが、強い時代の強度の高い鹿島らしいチームを取り戻しつつある。

 セレッソ大阪は奥埜博亮の離脱は非常に痛手。清武弘嗣が手術をしたというのも心配だ。しかし、チームはまとまりがあり、崩れるようなチームではない。加藤陸次樹が広島へ移籍して、藤枝MYFCから渡邉りょうを補強したことで、得点の期待値は上がると思う。

 今季のC大阪は勝っても負けても1点差ゲームが多く、どれだけ負けを引き分けに、引き分けを勝ちにできるかが順位を大きく左右する。そういった意味で渡邉にかかる期待は大きい。

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