大混戦のJリーグ優勝争い 頂点を狙う7チームの強みと課題を水沼貴史が解説 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【ヴィッセル神戸の初優勝へのポイントは?】

 改めて上位陣を見ていくと、神戸は第22節で横浜FCに敗れたものの、大崩れはしないだろう。大迫、武藤のコンディションは相変わらずいいし、汰木康也も個に走らず、周りを生かしながらやれている。中盤の中央では山口蛍と齋藤未月の2人が非常に安定していて、崩れる気はしない。

 それに加えて、菊池流帆など最終ラインにケガ人が出てもそこを埋める選手たちが力を示していて、簡単には崩れない強さの要因になっている。とくに本多勇喜のパフォーマンスは大きく評価できる。

 あとは終盤になるにつれて優勝争いのプレッシャーがかかってきた時に、引き分けなどがどれだけ出てくるか。そこで勝ち点の取りこぼしをどれだけ少なくできるかが、初優勝という大きな壁を越えるためのポイントになってくるだろう。

 連覇を狙う横浜FMは、優勝争いの経験値は神戸よりもあるけれど、相手に対策をだいぶ練られていて、今はそこを打破する形を模索している感が否めない。前線はアンデルソン・ロペス、エウベル、ヤン・マテウスの3人で固めているが、やや個に走り、以前のようなコンビネーションで崩す形が少ない印象を持っている。

 暑さによって前からのプレスがかかりづらくなっているので、どうしても個に頼らざるを得ない側面はあると思う。だからこそ、個を止められた時に崩しきれず、やや失速気味という状況につながっている。爆発したら相変わらず強力な前線なだけに、そこをどう改善してコンビネーションの形を作っていくかが、後半戦はカギになってくるだろう。

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