過酷なJ1残留争い 尻に火が付いている3チームのサバイバルを水沼貴史が考察 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【調子と自信を取り戻している横浜FC】

 横浜FCはリーグ再開初戦のヴィッセル神戸戦で2-0と快勝した。守備時に5-4-1の形で徹底的にスペースを消し、神戸の強力な前線を見事に抑えきった。今シーズンは4バックのシステムでスタートしていたが、そこから3バックに変更し守備時に5バックの形になる、四方田修平監督がもともと持っていたスタイルに戻してから調子を取り戻してきた。

 その堅守から山下諒也の一人でぶっちぎってしまうスピードは圧倒的で、神戸戦の2点目は鮮やかだった。山下は第14節川崎フロンターレ戦でも、ロングカウンターを一人で抜け出して決めきるスーパーゴールがあった。あの形にハマった時の山下を止めるのは、どのクラブも困難だろう。それくらいあのスピードは驚異的で、横浜FCのスタイルと相性抜群だ。

 ちなみに神戸戦の先制点の井上潮音のミドルシュートもスーパーだった。シュートを打つ前に山口蛍の素早い寄せをかわしたタッチも巧みで、古巣を相手に強烈な恩返し弾を叩き込んだ。井上も第14節の川崎戦でカウンターからテクニカルなゴールで決めている。井上と山下が2人で揃って決めたことだけでなく、リーグ戦の勝利もそれ以来だった。

 エースの小川航基がNEC(オランダ)への移籍で抜けて「俺たちがやらなきゃいけない」という強い思いもあったのかもしれない。神戸戦で改めて「このスタイルを貫くしかない」と、大きな手応えをチーム全体で得られたはずだ。

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