過酷なJ1残留争い 尻に火が付いている3チームのサバイバルを水沼貴史が考察 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【攻守で準備が整ってきている柏】

 柏は5月にネルシーニョ監督から井原正巳監督に交代し、上昇のきっかけとしたかったが、天皇杯では勝っていたもののリーグではまったく勝てなかった。先日の第22節京都戦でようやく1勝目を挙げることができた。

 この中断期間に浦和レッズから犬飼智也を獲得して、守備にかなりテコ入れをしたと聞いている。その甲斐もあって天皇杯ラウンド16の札幌戦と先ほどの京都戦で、2試合連続の1-0と失点をゼロに抑えて結果が出ている。この連勝でかなり自信をつかんだはずだ。

 その京都戦で犬飼が初先発し、試合開始は4バックで入って、終盤には5バックに変えて守りきった。このオプションは以前からやっていたが、人を入れたことで安定感が増し、形を変えながら守るというスタイルに自信をつけてきたのは大きい。犬飼を獲得した効果が早速出たのはチームにとってプラスだろう。

 それから中断期間前の第20節湘南戦からジエゴが戦列復帰した影響も小さくない。さらに細谷真大が3試合連続でゴールを決めていて上り調子だ。

 残留争いにおいて、失点を抑えられるのはかなり大きい。終盤で追いつかれるか、逃げきるかという展開で、守りきる形があるチームとないチームでは雲泥の差だ。残り数試合になってくると今まで感じたことのないプレッシャーに晒されることになる。そこでしっかりと守る準備ができているか。

 その点で、柏はその準備が整ってきている。エースが1点でも決めて守りきるという形に持っていければ、この混戦から抜け出すことは十分に可能だろう。

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