J1優勝はヴィッセル神戸か横浜F・マリノスか。カギを握る選手は誰? (3ページ目)
また、トップ下に元韓国代表のナム・テヒが加入したことは朗報だろう。シーズン途中の移籍でどこまでフィットできるか。まずはマルコス・ジュニオール、ケガから復帰の西村拓真との競争になる。
中盤は藤田譲瑠チマがベルギーへ移籍も、山根陸の台頭に期待したい。周りを生かすプレーセンスで言えば、パリ五輪世代で屈指。試合を重ねることで逞しさを身につけたら、大化けする可能性がある。
優勝争いの伏兵は名古屋だろう。だが、攻撃をけん引していたマテウス・カストロのサウジアラビア移籍は痛手だ。長谷川健太監督らしい「守備の堅牢さ」は健在で、一定の勝ち点は計算できるが......。
優勝予想の大穴は川崎である。中断直前の横浜F?、神戸戦でも地力を見せた。戦術的な仕組みは見えるし、選手の技術も高い。家長昭博以外に「個」で局面をひっくり返せる選手が出てくると、連勝街道を突っ走ることができるだろう。たとえば、センス抜群の宮代大聖が覚醒し、シーズン15得点を超えたら。
最後にJ1のサプライズとして、サガン鳥栖の名前を挙げたい。川井健太監督が作り上げた戦いの回路は、すでにピッチに立つ選手につながっている。選手が次々に目覚めつつあり、たとえば右ウィングバックの枠に収まっていた長沼洋一はウィング、サイドバック、トップ下などで躍動、さらにストライカー的な資質も発見された。残り3分の1が楽しみなチームだ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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