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日本代表の座を脅かすU-20世代の台頭はあるか FC東京・松木玖生と俵積田晃太への期待と課題 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

【一瞬で相手をかわすドリブル】

 松木は少しも浮かれず、むしろ戒めるように語っている。その後も、長友佑都が失ったボールを回収して攻撃につなげたり、球際で局面を制したり、終始、戦闘姿勢をとっていた。その逞しさがセールスポイントと言える。彼はそれにより1年目からレギュラーを取っているわけで、その点は規格外だ。

 しかし、ボランチは「周りを輝かせる」のが本分である。難しいプレーを簡単にし、次へ促す。味方にアドバンテージを与え、敵のアドバンテージを取り除く。これにはセンスと技術の総量が求められる。高いコントロール技術で迅速にパスをつけ、攻め手を切りながら味方をサポートし、予測、準備で上回っているか。怒涛の攻め上がりやインターセプト数はエクストラだろう。

 たとえばリターンのボールを受けてからのスルーパスがズレて流れたシーンなどは、狙いすぎだった。また、背後(バックラインとボランチの間)に危険なパスを入れられる場面は3度、4度とあった。欧州のトップリーグだったら、致命傷になっていた。

 繰り返すが、20歳の選手のプレーとしては破格なのだが、果たしてこのままで代表のボランチの座を脅かせるだろうか。

 この試合で異彩を放っていたのが、後半途中から入ったFC東京の19歳のアタッカー、俵積田晃太である。U-20W杯メンバーからは外れたが、1対1になった時のポテンシャルは折り紙つきだ。「ネクスト三笘」「第二の三笘」「三笘の再来」......メディアが美辞麗句で飾るのはいきすぎだが、無理もない。

 後半30分、左サイドで相手ディフェンスと対峙すると、ボールを動かしながら、一瞬で中に切り込んでマークを外す。そして動き出すFWやスペースを視界に捉えながら、完璧なコースとタイミングのスルーパスを送っている。このゲームで最もスペクタクルなシーンだったが、ブラジル人FWペロッチはこれを決められない。

 アディショナルタイムにも、俵積田は1対1から颯爽と切り込んでいる。相手の逆を取る間合いは白眉で、難しいことを簡単にやってのけた。折り返したボールは味方に合わなかったが、トップスピードで高い技術を使えるのは特大の才能だろう。

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