川崎フロンターレのゴラッソの理由 緻密なコンビネーションが蘇ってきた (2ページ目)
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登里はハーフスペースに入った脇坂泰斗とのワンツーで中へ
この試合の川崎は、前線から中盤の流動的な動きで柏の守備を翻弄。川崎らしいスペースを作る動き、そのスペースをうまく使う動きが噛み合い、見事なコンビネーションで崩した場面である。
登里はハーフスペースに入ってきた脇坂とワンツーしながらカットイン。右足でシュートを決めたこの記事に関連する写真を見る 登里が左サイドのオープンスペースで、大島からのサイドチェンジパスを受けるところからこの場面が始まる。ボールを受けた登里がそのまま縦に運ぶと、並走していたシミッチは後方のサポートの位置に動き、やや前方にいた宮代は中央へ斜めに動き、それに柏の立田はついていった。
さらに登里の前進に柏の右サイドバックの川口尚紀が釣り出されると、柏の右ハーフスペースがオープンになった。その瞬間を狙ったのが脇坂泰斗である。
脇坂はハーフスペースが空いた瞬間に素早く動き出して、登里からのパスを呼び込んだ。そして、脇坂自身は柏の高嶺朋樹を引き連れ、宮代はそのままゴール前へ走ることでバイタルエリアが空いた。
脇坂がワンツーでボールを返し、それを登里はワンタッチで空いたバイタルエリアへ運ぶと、ファーサイドへ強力なシュートを叩き込んだ。
宮代のハーフスペースを空け、相手守備ラインを押し下げる動き出し。脇坂の素早く的確なスペースへの進入と、正確な落とし。そして登里の中への進入とシュート精度。川崎の高いクオリティがよどみなく連続したゴラッソだった。
◆【動画】Jリーグ第15節 川崎フロンターレvs柏レイソル ハイライト
(川崎の2点目のシーンは、5分21秒~6分15秒)
著者プロフィール
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
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