長谷川健太監督「就任2年目のジンクス」清水→15位から4位、G大阪→3冠達成、FC東京→優勝争い...名古屋は?

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 とりわけ前半は、出色のパフォーマンスだった。

 ソリッドな守備でリーグナンバー1の攻撃力を誇る横浜F・マリノスにほとんど何もさせず、41分には左ウイングバックを務める森下龍矢の個人技から先制ゴールを奪取。ほかにも鋭いショートカウンターからゴールに迫るなど、さらなる得点の予感も漂っていた。

 だからこそ、長谷川健太監督は悔やむのだ。

2022年から名古屋を率いる長谷川健太監督2022年から名古屋を率いる長谷川健太監督この記事に関連する写真を見る「展開的に言えば、もう1点取りたかった。2点目を取っていれば、勝てた試合でした」

 パーフェクトと称してもいい前半を過ごした名古屋グランパスだったが、全体的に動きが落ちた後半に反攻の糸口を与え、72分に喜田拓也に同点ゴールを許してしまう。その後は両者に決定打が生まれず、注目の上位対決は1-1の痛み分けに終わった。

「前半から全員がチームの狙いを遂行し、戦ってくれた」

 長谷川監督が振り返ったように、名古屋にとっては狙いどおりの前半だっただろう。際立ったのは、相手に一分の隙も与えない守備だ。

 1トップに入った酒井宣福が横浜FMのボランチを徹底監視し、ビルドアップを自由にさせない。トップ下のマルコス・ジュニオールにボールが入ればボランチの稲垣祥がすぐさまつぶし、相手の3トップには名古屋の3バックが激しくチャージして前を向かせなかった。

 ビルドアップを寸断され、前線に起点も作れなかった横浜FMはシュートを打つことさえままならなかった。

「マリノスのトップ下とボランチをフリーにすると、攻撃が流れてしまうので、そこをどうやって断つのかがひとつのポイントでした」

 長谷川監督の思惑どおりに、名古屋はマンツーマンとも言える対応で横浜FMの攻撃を沈黙させた。一度だけマルコス・ジュニオールに個人技で密集地帯をかいくぐられたが、決定的な左足シュートもGKランゲラックがあっさりとセーブ。横浜FMにとってはようやく訪れたチャンスだったが、ゴール前に立ちはだかる守護神の存在は、絶望にも感じられるほどだった。

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プロフィール

  • 原山裕平

    原山裕平 (はらやま・ゆうへい)

    スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

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