今季未勝利の横浜FCの現状を残酷なまでに映し出した逆転負け 長いトンネルの出口はいまだ見えず

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 試合開始からわずか40秒足らず。キックオフ直後に生まれた幸先のいいゴールも、終わってみれば、勝てないチームの苦しい現状を際立たせるものになってしまうのだから、皮肉なものだ。

 J1第10節、最下位に沈む横浜FCは、北海道コンサドーレ札幌に1-4と敗れ、またしても今季初勝利はならなかった。

 第10節終了時点で7敗3分けの勝ち点3は、17位のガンバ大阪と勝ち点4差の最下位。10試合を終えて依然未勝利は、1クラブだけという状況だ。

キックオフしてすぐに先制ゴールを奪った横浜FCだったが...キックオフしてすぐに先制ゴールを奪った横浜FCだったが...この記事に関連する写真を見る 先制しながら前半のうちに逆転を許し、計4度もゴールネットを揺らされての完敗は、横浜FCの現在地を残酷なまでにはっきりと映し出すものだったと言うしかない。

「勢いづいたとは思う。そういう意味ではプラスの影響があった」

 横浜FCの四方田修平監督がそう振り返る、試合開始直後の先制点を決めたのは、22歳のMF近藤友喜。ルーキーの記念すべきプロ初ゴールは、不振にあえぐチームを盛り上げるには最高の一発となるはずだった。

 ところが、横浜FCは、ここから落ち着かない試合に終始してしまう。

 その理由のひとつとなったのが、メインスタンドから見て右から左へと激しく吹いていた強風である(前半は札幌が風上)。両チームともにボールコントロールがままならず、高く上がったボールが風に流されるばかりか、芝の上を転がるボールさえ加速していくような弾み方を見せていたからだ。

 しかし、そうしたバタついた試合展開も、見方を変えれば、横浜FCにとってはそれほど悪いものではなかったはずである。

 両チームが思ったような攻撃を組み立てられないまま時間だけが進んでいけば、最後に待っているのは勝ち点3。相手のミスに乗じて奪った、試合開始早々の1点がものを言うからである。

 だが、横浜FCの淡い期待は思わぬ形で崩れ去ってしまう。

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