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アントラーズの危機「岩政を出せよ!」サポーターの罵声が飛び交い、昌子源は憔悴、鈴木優磨は「今日は勘弁してください」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images


 試合が終わっても、アウェーゴール裏に陣取った鹿島アントラーズのサポーターは帰ろうとはしなかった。「岩政を出せよ!」と罵声を飛ばすなど、怒りは収まらない様子だった。

 サンフレッチェ広島に逆転負けを喫した前節にも、一部サポーターがバスを囲む事態が起きたばかり。不甲斐ない戦いを続ける鹿島に対し、ファンの我慢は限界に達してしまったようだ。

「結果も内容もよくなかった。今季で一番悪かったんじゃないかと思います」

 柏レイソルに0-1で敗れたあとの会見で、岩政大樹監督は肩を落とした。

いつも威勢のいい鈴木優磨でさえ苦しい表情いつも威勢のいい鈴木優磨でさえ苦しい表情この記事に関連する写真を見る 選手たちも憔悴しきっていた。

 いつもは饒舌な昌子源は「今日はあまり言うことがなくて......。僕が試合に出てから勝っていないので責任を感じるし、自分のせいだなとすごく思う。その責任を自分のなかでも背負っていきたい」と言葉少なく取材陣の前をあとにした。

 鈴木優磨は「今日は勘弁してください」とひと言だけ残し、ミックスゾーンを通りすぎている。

 無理もないだろう。前節まで最下位に沈んでいた柏に今季初勝利を献上し、ついに3連敗。14位にまで順位を下げてしまったのだから、話す気力もなかったはずだ。

 たしかにこの日の鹿島は、いいところがなかった。とりわけ前半はアップテンポの展開のなかで連動性が備わらず、ロングフィードを打ち込んでは、跳ね返されるばかり。サイドのスペースを突いてもサポートが足りず、個の力で打開するしか術(すべ)はなかった。

 2トップに変えた後半立ち上がりに立て続けにチャンスを生み出したが、決定的なシーンにはなかなかつながらない。その後も選手を代え、形を変え、立ち位置を変えながら状況打破を試みるも決定打は生まれなかった。植田直通を前線に上げた最後のパワープレーも実らず、32分に失った1点を取り返すことはついにできなかった。

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著者プロフィール

  • 原山裕平

    原山裕平 (はらやま・ゆうへい)

    スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

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