「ガンバの背番号7」という覚悟...ニュー宇佐美貴史が「プレッシャーを打ち破っていくのは快感」と胸を張れた理由 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

【司令塔とアタッカーの二刀流】

 そのインサイドハーフの位置に入った宇佐美のタスクは多岐に渡った。

 後方に下がってビルドアップに参加すれば、鋭い縦パスを打ち込んで攻撃のスイッチを入れる。高い位置を取ればラストパスを供給し、自らエリア内に飛び込んでフィニッシュワークにも関与する。自在なポジショニングでボールに絡み続け、G大阪の攻撃に流れを生み出していた。

「どこに立つべきか、というベースはありますけど、相手の立ち位置によって変えたりとか、ボールを回していくやり方のオプションはたくさんあるので」

 宇佐美がまず求められているのは、ボール回しをスムーズにすること。プレッシャーのなかでもボールを収められ、視野の広さと判断の早さを持ち合わせる宇佐美は、"司令塔"として打ってつけだろう。

 実際に宇佐美が数多くボールを触ることで、G大阪の攻撃に流れが生まれた。一方でとりわけ前半は、ボールを支配しながらもゴールに迫るシーンは少なかった。そこには"アタッカー"宇佐美が不在だったことが原因だろう。

「下がって受けて流れを作ることはそうですけど、それだけでは物足りない。どうやってフィニッシュのところに絡んでいくか。ゴール前に顔を出すのは絶対的なテーマ。そこもやりながら、守備もやりながら、やることは多くなりますけど、チャレンジしがいはあるので、意欲的にやっていきたいと思っています」

 司令塔でありながら、アタッカーでもあり続ける。求める理想はかぎりなく高いが、今季の宇佐美はその境地へとたどり着く覚悟だ。

 宇佐美がアタッカーの役割を強めた後半、G大阪はそのエースのゴールで追いつくと、5分後にはダワンのミドルで逆転に成功。しかし、終了間際にPKで追いつかれ、開幕戦を白星で飾ることはできなかった。

「3点目が必要だなと。ああいう時に、もう少し余裕を持って守れるとか、中でしっかり受けすぎないメンタルを持つようにとは話していましたけど、勝利を目の前にした時にちょっと重くなってしまったのかなと」

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