VARでそこまでやる必要が本当にあるのか?「3D」採用によるオフサイド判定 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 攻撃側選手の肩が一番前に出ているとしたら、リプレー映像の画面上に肩の位置からピッチに向かって垂直なラインを下ろしていくことで、その位置に合わせてピッチ上にラインを引くことができる。

 これがあることによって、たとえ肩と足の位置を比べなければならなくなったとしても、あるいは、攻撃側選手と守備側選手が遠く離れた場所に立っていたとしても、3次元的な位置関係を2次元のラインに変換することで、オフサイドか否かを正確に判断できるようになったというわけだ。

3Dオフサイドラインの参考写真。photo by(C)JFAPR3Dオフサイドラインの参考写真。photo by(C)JFAPRこの記事に関連する写真を見る なるほど、画期的な技術、なのかもしれない。

 VARによってジャッジの精度が高まるのは歓迎すべきことだし、誤審によって勝敗の決着がついてしまうような試合はないに越したことはない。

 だがその一方で、本当にそこまでやる必要があるのだろうか。そんな疑問が頭に浮かんでしまうのも正直なところである。

 3Dオフサイドラインの導入によって、理屈のうえでは確かにオフサイド判定の精度は高まるのかもしれない。だが、体のどの位置に合わせるかを決め、実際にラインを引くのは、人間の手作業だ。そこでは当然、程度の差こそあれ、扱う人によってラインの位置は微妙に変わってくる可能性がある。

 だとすれば、攻撃側選手と守備側選手が本当に際どい位置関係だった場合、それによって判定も変わる可能性がないとは言いきれない。

 それ以前に、そもそもオフサイドばかりをこんなに厳密にジャッジする必要あるのか、ということにも少なからず疑問を感じる。

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