福田正博が感心した横浜FMのチームマネジメント。「交代する選手が不満なく笑顔でピッチを後にする」 (2ページ目)
MVPやベストイレブンを決めるのは難しい
その余波として今シーズンはMVPやベストイレブンを決めるのが、相当頭を悩ます作業になるはずだ。
2020年シーズンは、優勝した川崎フロンターレの選手ではなく、得点王になったオルンガ(当時柏レイソル)が選ばれたが、私はMVPはよほどのことがない限り、優勝チームから選ばれるべきだと考えている。その点で今シーズンは得点王争いも低調なため、横浜FMからMVPが選出されると思うが、では、誰かとなると選手が入れ替わりで起用されるので困ってしまうのだ。
出場時間で考えれば、MVP候補は2人に絞られる。ひとりはGKの高丘陽平。リーグ戦フル出場はチーム唯一で、失点数でもリーグ最少失点と結果を残している。もうひとりが岩田智輝だ。出場時間は高丘に次ぐ多さで、フィールドプレーヤーでは唯一2500分を超えた。
個人的な気持ちとしては水沼宏太をMVPに選びたいところだが、1シーズンを通したチームへの貢献度という点で考えれば、やはり岩田が受賞に値するのではないかと思う。チーム事情から守備的MFとセンターバックの両方で起用され、存在感を発揮したのは大きいからだ。
ベストイレブンは過去を振り返れば、ゴールをよく決める選手から選ばれる傾向がある。今シーズンは得点王争いで前半戦を10ゴールでトップを走った上田綺世が7月に海外移籍。それを抜いた選手は7人いるが、トップはチアゴ・サンタナ(清水エスパルス)の14ゴール。これはあまりに寂しい数字だ。
2019シーズンに横浜FMが優勝し、得点王を仲川輝人とマルコス・ジュニオールが15得点で分け合った。あの年は同一チームに2人の得点源がいたからだと考えられたが、今年はそうではないために、15得点は最終的に超えてもらいたかったと思う。
このため、例年のようにFWから11人を決めていくのが難しいと思う。優勝チームはターンオーバー制で、誰にするかの決め手がない。得点王争いは低調。そうしたなかで、ベストイレブンをどう決めるのかは、興味深いところではある。
2 / 3