強いF・マリノスが帰ってきたわけ。「責任は私が持つ」マスカット監督の揺るぎない信念 (2ページ目)
久々に気持ちのいい勝利を手にした試合も、時計の針をキックオフ直後まで巻き戻せば、会場の日産スタジアムには連敗中の不穏なムードがなかったわけではない。
前線から積極的なプレスを仕掛けてくる浦和に対し、横浜FMは思うようにパスをつなげない。そんなシーンが何度か続いたからだ。
「前半戦(第11節)で対戦した時、簡単に(横浜FMの)DFラインに(ボールを)運ばれたので、今回はその対策をした」
敵将のリカルド・ロドリゲス監督がそう明かしたように、浦和の"横浜FM対策"が功を奏するかに見えた。
しかし、それも長くは続かなかった。
「このゲームにどうアプローチするか。それをフットボール自体で証明してくれた」
マスカット監督が誇らしげにそう語ったように、横浜FMの選手たちは自らのプレーで、ほどなく苦境を打開する。
前進するためのパスコースを見逃すことなく縦パスを打ち込み、素早いサポートとワンタッチパスで浦和のプレスをかいくぐる。横浜FMが敵陣で試合を進めるようになるまで、それほど時間はかからなかった。
先制点を奪うのも早かった。
過去2試合、まさかの無得点で連敗を喫している横浜FMにしてみれば、攻めてはいても得点できなければ、次第に焦りが生まれたかもしれない。
だが、前半17分、FWアンデルソン・ロペスの鮮やかなポストプレーからMF渡辺皓太が抜け出し、右サイドで開いて待つFW水沼宏太へパス。水沼がカットインから左足でシュートを放つと、これが相手DFに当たってコースが変わり、逆サイドでフリーになっていたFWエウベルが難なくゴールに押し込んだ。
早い時間の先制点で勢いに乗った横浜FMは、前半のうちに2点目を奪うと、後半にも2点を追加。その後、浦和に1点を返されたものの、試合の主導権を手放すことはなかった。
「4-0になってから守備的にやることもできるが、自分たちはそんなサッカーを求めていない。1-0で勝っていても、0-1で負けていても、自分たちのサッカーをブレずにやる。その責任は私が持つ」
マスカット監督がそう語ったように、横浜FMらしい攻撃姿勢を貫いた末の完勝だった。
2 / 3