強いF・マリノスが帰ってきたわけ。「責任は私が持つ」マスカット監督の揺るぎない信念 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 横浜FMが本来の"らしさ"をとり戻したことは、浦和のロドリゲス監督の言葉からもうかがえる。

「この試合では横浜が我々を上回った。そこに尽きる」

 そうきり出した敵将は、完全に脱帽の体だった。

「前半に短い時間で2点を決められ、チャンスの数でも彼ら(横浜FM)のほうが多く、球際の激しさも彼らに対して足りていなかった。後半は前線の枚数を増やして攻撃的にいったが、それでも相手の攻撃のほうが我々に圧力とダメージを与えていた。1点はとれたが、チャンスとゴールの数は彼らのほうが多かった」

 久しぶりに味わう痛快な勝利で勝ち点を65に伸ばした横浜FMは、しかし、同じ時間に行なわれた試合で川崎も勝利したことにより、優勝決定はお預け。川崎との勝ち点差は2のまま、最終節を迎えることになった。

 だが、強いF・マリノスが帰ってきた今、2位との勝ち点差や、優勝するための条件などは、まったく気にする必要のないものだろう。

 2019年にJ1優勝を果たした前任のアンジェ・ポステコグルー監督からバトンを受け、昨季途中から指揮を執るオーストラリア人指揮官は、堂々と語る。

「(最終節の)神戸とのゲームにフォーカスし、神戸へ行って勝つだけ。やることはひとつ。しっかりタイトルをつかみ、帰ってきたい」

 横浜FMは、最終節のヴィッセル神戸戦で勝てば優勝が決定するのはもちろん、得失点差で川崎を11点も上回っているため、引き分けでも優勝が決まる可能性が極めて高い。いつものサッカーでいつもどおりに目の前の試合に臨めば、自然とタイトルに手が届くはずだ。

 強いF・マリノスが、3シーズンぶりの優勝に王手をかけた。

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